「Road to JBC」in船橋 日本テレビ盃(10月1日)&マリーンカップ(10月2日)見どころ
2025年 10月 01日
今年は11月3日に行われるJBC(ジャパン・ブリーディングファームズ・カップ)。その統一GⅠ3競走は15年ぶりとなる船橋競馬場で開催されるが、その優先出走権がかかる“Road to JBC”も、船橋競馬場からスタートする。JBCクラシックおよびJBCレディスクラシックと同じ舞台で争われる前哨戦が、本番に向けての気運を高める争いになることを期待したいものである。
久しく新しい記事を掲載できず、また旧ツイッターもつぶやく頻度が減っている現状ですが、“Road to JBC”として行われる6競走については、このブログで見どころを紹介することにいたします。この記事では船橋で行われる2競走をまとめて取り上げますが、来週大井で行われる3競走に関しては、どういう形で掲載するか検討中です。また10月8日に行われるジャパンダートクラシック、および10月13日に行われるマイルチャンピオンシップ南部杯は、全頭解説を行う可能性があります。
10月1日 船橋競馬11レース「第72回 日本テレビ盃」(20:05発走)
(古馬・JpnⅡ・1800m)
過去2年、このレースは米ブリーダーズカップクラシック遠征を控えたウシュバテソーロの壮行レースという印象が強かった。そして今年も、壮行レースとしてこの舞台に立つ存在がいる。それはこのレースが持つ本来の位置づけから離れているといえるが、今年は同じ舞台でJBCクラシックが行われる。その戦いが終わった時、遡って議論しやすいのは、今年ならではといえるだろう。
今年、壮行レースとしてこの舞台に立つフォーエバーヤングは今年、サウジCを制してドバイワールドC3着。海外のチャンピオンディスタンスで勝てないのはもどかしいが、それ故に世界の頂点に対する渇望は強くなっているはず。ここでの仕上げは先をにらんだ部分があるとは思うが、国内無敗の存在がその程度で泣き言はいえない。どんな走りが見られるのか、見逃せないところだ。
これに実績面で対峙できる唯一の存在がキングズソードだ。一昨年のJBCクラシックで一躍頂点に立つと、昨年の帝王賞で2つ目の統一GⅠタイトルを奪取。ただその後故障による戦線離脱を余儀なくされ、今回が約15ヶ月ぶりの復帰戦。さすがに半信半疑の舞台だが、それでも初対戦となるフォーエバーヤング相手にどんな走りができるのか、楽しみにしたい。
統一GⅠホルダーは、昨年の川崎記念を制したライトウォーリアもいる。その後も大崩れしない走りを見せていたが、久々に逃げにこだわった大井記念を制し、やはり勝つには逃げということを再確認させた。ただ今回は中央からマーブルロックとレヴォントゥレットという、徹底先行タイプの新鋭が参戦。この先行争いの行く末は、このレースのカギを握っている。
ここまで名前が挙がっていない馬では、近況OP級で安定した戦いを見せているホウオウトゥルースに、船橋コースの実績豊富なギガキング辺りか。ただどちらもここで勝ち負けできるかとなれば、相当厳しい。余程の乱戦になった時に、浮上する余地があるかどうかではないだろうか。
10月2日 船橋競馬11レース「第29回 マリーンカップ」(20:05発走)
(3歳牝馬・JpnⅢ・1800m)
新装初年度となった昨年はわずか6頭立てだったものの、当時4着も1番人気だったアンモシエラは直後のJBCレディスクラシックを制覇。ここで初タイトルを手にしたテンカジョウは今年エンプレス杯を制するなど、今や路線の中核を担う存在に。また3着に地元のザオが喰い込んだ効果か、今年は地方勢もメンバーが揃った。こういうメンバーが毎年揃うなら、いずれ3歳牝馬戦線の女王決定戦として評価されるかもしれない。
特に今年は関東オークスの4着までが勢ぞろいし、ひと夏越しての再戦ムードもある。その時に制したメモリアカフェは、息の長い末脚で2着を5馬身千切る圧勝劇。2分17秒1の勝ちタイムも優秀で、対古馬になってからも活躍が期待できる次元と評していい。春に見せたスケールの大きな走りが、ひと夏越してどう成長したのか、確かめてみたい1戦だ。
当時2着のコパノエミリアは、最後の直線で鋭い末脚を繰り出し、混戦を抜け出した。中央時代は結果が出なかったが、デビューした道営時代を含め、地方の馬場では崩れ知らず。手綱を取る吉村智洋騎手も3度目となり、その末脚を余すところなく引き出してくれるはず。前走が実力であることを、この舞台で示してほしいものである。
南関東の3歳牝馬路線で主役を演じたプラウドフレールは、この時3着。暴走気味に逃げた馬を追いかける立場になり、最後粘れなかったもので、力負けでは決してない。逃げて他を寄せ付けなかった(浦和)桜花賞のように、落ち着いた流れになれば押し切る力は持っている。地元南関東のエースとして、譲れない舞台だろう。
これらを押しのけて、1番人気になる可能性がありそうなのが、プロミストジーンである。ここまで5戦3勝2着2回で、敗れた2戦はともに牡馬相手のOP特別における惜敗。そして前走は他馬がまだ経験していない古馬相手に快勝と、ある意味では牝馬路線を歩んだ馬以上の実績を手にしている。この舞台で勢力図を一変させる走りが見られるか、大いに注目したい。
この他にも伏兵陣は多彩。関東オークス4着のクリノメイはダート2戦目で上積みがありそうだし、船橋コースの実績豊富なアメストリスは、秋初戦の前走がここに向けた余裕残しだったのが不気味。さらに大乱戦となった東京プリンセス賞で2着に追い込んだグレアネオンライトも侮れず、馬券を買う上では悩みがいのあるレースになった印象。レース展開やひと夏越しての成長度によっては、思わぬ決着もあるかもしれない。
(詳細な出走表は地方競馬全国協会のオフィシャルサイト等で確認してください)
1着 (7)番 フォーエバーヤング(1番人気)
2着 (10)番 レヴォントゥレット(2番人気)
3着 (5)番 ホウオウトゥルース(7番人気)
フォーエバーヤング・・・前半1000m60.0秒というハイペースを追いかけず、序盤は3番手グループから。前のペースが鈍り始めてから自然と差を詰めていくと、直線に向いた所で早くも先頭に。その後レヴォントゥレットに喰い下がられる場面はあったが、ステッキが入ると一気に突き放し、最後は余裕をもってゴールを駆け抜けた。
先を見据えた仕上げだったからか、道中から余裕を感じた訳ではないけれど、突き放した時の切れ味はワールドクラスの面目躍如。この後海を渡るまで、何の不安もなく過ごすことを願うばかりである。
ホウオウトゥルース・・・道中は3番手グループの更に後方を進んでいたが、直線に向いてから凄い脚で追い込み、あわや2着という走りを演じた。ハイペースに乗じて台頭した部分は否めないが、9歳となった今が充実期にあるのも事実。緩い流れになりがちな地元馬同士より、統一グレードの方が戦いやすい一面もありそうだ。
キングズソード(4着)・・・道中の手応えは一緒にいたフォーエバーヤングより良く見えた場面もあったが、勝負所から徐々に突き放されてしまった。それでも2着争いに喰い下がったのは地力の証で、次にどう変わってくるか楽しみな走りだった。
1着 (6)番 プラウドフレール(5番人気)
2着 (1)番 メモリアカフェ(1番人気)
3着 (5)番 プロミストジーン(2番人気)
プラウドフレール・・・好スタートを切ってハナに立つと、自然と単騎逃げの形に。すると3ハロン目から12.7~13.1秒というイーブンペースのラップを刻むと、後続が徐々についていけなくなり、そのままJBCレディスクラシックの優先出走権を獲得した。
直近2戦は乱ペースの渦中で戦う形だったが、スムーズな競馬ができればこんなに強いのかと思わせる内容。一方でユングフラウ賞まで差す競馬で勝ってきた馬なので、逃げにこだわらなくても結果を出せるなら、手が付けられない馬になっておかしくない。にもかかわらず次走はロジータ記念の予定というのは、その可能性を摘むだけではないだろうか。
プロミストジーン・・・スタートで痛恨の出遅れ。これが隣にいたプラウドフレールが楽に逃げられる要因になった上、自身は流れに乗れず。それでも2着と半馬身差まで迫ったことで力の一端は示しており、互角のスタートだったらどうだったかという印象は残した。できれば2着に入って賞金を上積みしたかったが・・・。
コパノエミリア(5着)・・・好位のインで息をひそめ、4角では2番手に上がったものの、そこで息切れ。春より前目で戦ったことが良くなかった可能性もあるが、プラス22キロの馬体重が太目残りだったのだろう。次走以降、絞れてどう走りが変わるか注目したい。
