大井「帝王賞」見どころ(2025年7月2日 20:05発走)
2025年 07月 02日
6月29日に水沢競馬場で行われた一條記念みちのく大賞典で3歳馬リケアカプチーノが歴戦の古馬を破った1戦は、3歳のトップクラスが早い段階から古馬一線級と戦える環境が地方競馬で進んだことを示す象徴だったと思う。その視点に立つと、春シーズンの掉尾を飾る帝王賞に3歳馬が出走できないことに違和感を覚えるのは確かである。昨年国内ダート3冠路線が整備されたことで、3歳春の頂点は帝王賞の前に決まるようになったこともあり、3歳馬への開放を検討すべき時期が来たのではないだろうか。
大井競馬11レース「第48回 帝王賞」(古馬・JpnⅠ・2000m)
競走除外:(9)番 メイショウハリオ
今年は中央競馬の日程が後倒しになっている影響からか、地方競馬の統一グレード戦線も、平日開催の競走は後倒しになっているケースが目立つ。この舞台も6月の最終水曜日という日程が定着していたが、今年は史上初となる7月開催になった。この差がレースに直接影響することはないけれど、違和感を覚えるのは私だけではないだろう。
さて本題。王者フォーエバーヤングに、前哨戦となる名古屋グランプリを制したサンライズジパングが不在でも、質量ともにレベルが高い4歳世代に注目が集まる。今回出走する3頭は全て昨秋のジャパンダートクラシックに出走していたが、2着と最先着だったのがミッキーファイトだ。その後古馬との戦いになって、名古屋大賞典とアンタレスSを制し、本格化を示す走りを披露。初対戦の実力馬は多いものの、今の充実ぶりなら十分突破できるはずで、ここを制して世代交代を確固たるものにするだろうか。
当時4着だったラムジェットは、無駄な動きが多かった1戦で、休み明けだったことも含めてあれが実力差ではない。昨年ユニコーンSでミッキーファイトを破った勢いで昨年の東京ダービーを制した底力は、当然見直されるべき。ただ海外遠征帰りの1戦なので、当日の気配には注意を払いたいところだ。
そして当時5着だったのが、高知のシンメデージー。その後も統一グレード中心のローテーションを歩み、佐賀記念と名古屋グランプリでは斤量があったものの、ノットゥルノに先着する2着。定量戦となる今回は真価が問われる舞台だが、充実ぶりは同世代の2頭にヒケを取らない。歴史的なシーンが生まれる可能性も、ゼロではないだろう。
一方の既成勢力は、メイショウハリオの除外で実績最右翼の存在となったのがウィルソンテソーロ。昨秋のJBCクラシックで悲願の統一GⅠを制し、その後もその称号にふさわしい戦いを続けている。ただ統一GⅠ2着5回が示す通り、勝ちきれないのがこの馬の課題。この組み合わせだったらと思わずにいられないが・・・。
今年から大井に移籍したディクテオンは、前走川崎記念で2着。脚の使いどころが難しい馬だが、道中中途半端に脚を使った印象もあった昨年が3着なら、乗り方1つで前走のもう1つ上だって可能だろう。2度目の手綱となる矢野貴之騎手がどこで動くかは、レースを左右するポイントになるかもしれない。
前走平安ステークスで統一グレード2勝目を飾ったアウトレンジは、好凡走が激しいタイプ。それでもみやこSでサンライズジパングを苦しめ、浦和記念で6馬身差の圧勝劇を見せるなど、トップクラスで戦える地力は十分秘めている。この組み合わせでも、侮ることはできないと思う。
さらに2戦続けてシンメデージーに先着を許したノットゥルノは、大井コースは走るだけに見限るのは早計か。久々の地元戦となるミックファイアも、砂を入れ替える前の水準に大井コースの時計が戻っており、これならチャンスはあるかも。徹底先行で復調してきたヒーローコールが1番枠を引いたこともあり、帝王の称号を懸けた闘いはまさに群雄割拠。不安定な天候とともに、気まぐれな勝利の女神はどの馬に微笑みかけるのだろうか。
(詳細な出走表は地方競馬全国協会のオフィシャルサイト等で確認してください)
1着 (2)番 ミッキーファイト(1番人気)
2着 (3)番 アウトレンジ(4番人気)
3着 (14)番 ノットゥルノ(5番人気)
ミッキーファイト・・・1番枠からハナを主張したヒーローコール(12着)にハナを譲ったものの、この馬も好スタートからすんなり2番手を奪取。ただヒーローコールが向正面半ばで失速して押し出されるように先頭に立つと、直後にウィルソンテソーロとノットゥルノに並びかけられる苦しい形に。ところが並んできた2頭を直線でもう1度突き放す底力を発揮し、最後追い込んだアウトレンジも凌いて、統一GⅠ初制覇を飾った。
楽に2番手を取れたアドバンテージはあったものの、先頭に立ってからの流れは最悪で、並みの馬なら崩れてしまう展開。それで勝ち切った走りは着差以上に中身が濃く、打倒フォーエバーヤングの筆頭格に立ったのは間違いない。その対戦はこの先、どこかで見られるのだろうか。
ノットゥルノ・・・内枠勢のスタートが良かったために先行できなかったが、向正面で動いて3角で先頭に並びかける強気な競馬を見せたのは驚いた。直線半ばで一杯になってしまったけれど、やや限界を感じさせた近況を払拭するに十分な走り。これを続けられるかはまた別問題だが・・・。
ウィルソンテソーロ(5着)・・・3角でミッキーファイトに並びかけてねじ伏せに行ったが、4角で手応えが怪しくなって返り討ちにあった形。目に見えない海外遠征の反動は否定しないが、大井でここまで道中息が抜けない競馬は初めて。そこに落とし穴があったのかもしれない。
シンメデージー(9着)・・・終始馬群の外々を回らされてしまう、ロスの多い競馬。道中はアウトレイジとほぼ同じ位置にいて、勝負所から動く積極的な姿勢も見せたが、4角で息切れしたのはコース取りの差もあった。この結果が上を目指すための糧になってほしいものだ。
