大井「東京ダービー」全頭解説(2025年6月11日 20:05発走)
2025年 06月 11日
昨年から制定されたダート3歳3冠路線は、最終戦のジャパンダートクラシックを除き、ただ賞金を積み重ねれば手が届く舞台ではない。指定された競走で結果を出さなければその道が閉ざされてしまうため、特に中央所属馬は国内専念組でなければ目指せない格好となっている。ただそれを持って、その価値に疑問を持つことはない。何故なら頻繁に海外遠征が行われるようになった結果、オールスターキャストが揃う国内のビッグタイトル自体が消えつつあるから。国内に確固たる基盤となる路線が整備されているからこそ、海外遠征に価値が出ることも忘れてはならない。
大井競馬11レース「第71回 東京ダービー」(3歳牡馬牝馬・JpnⅠ・2000m)
大井競馬場は2023年秋に豪州産の砂を導入して以降、それ以前と比べて時計がかかる競馬が続き、求められる適性が変わったという声もあった。ただ導入当初は砂をかなり深くしていたこともあり、徐々に浅くしている現在は、導入前と大きく変わらない時計が出るようになっている。それでも豪州産の砂を経験している馬が少ない以上、何らかの影響はあると私は思っている。
<全頭解説>
(1)番 アメージング(中央)
2勝はともに逃げ切っての勝利だったが、京浜盃と羽田盃は逃げられずに5着止まり。この2戦はスタートがあまり良くなかったのは確かだが、力を出すとなればとなればやはり逃げたいところ。それだけに1番枠を引いた今回は、逃げ馬にとって願ってもない枠。スタートを決めてハナを奪えれば、まだわからないのではないか。
(2)番 プレミアムハンド(浦和)
ここまでわずか2勝で2-3着が多いことからも、崩れないけれど勝ち切る力に乏しい馬。それでも雲取賞で5着まで追い込んできたように、トップクラス相手でも戦える力はある。今回も末脚勝負で展開の紛れを待つことになるだろうが、雲取賞より相手は格段に厳しくなっている。入着ラインに手が届けば、大健闘だろう。
(3)番 ナイトオブファイア(大井)
京浜盃で1.9秒離されたナチュラルライズとの差を、羽田盃で1.0秒差まで詰めることができた。2戦とも完敗といえる内容でも、1ヶ月で確かな成長力を見せたことは間違いなく、その後の成長力如何では逆転する可能性はある。昨年は南関東生え抜きが全く通用しなかったが、その分の期待も一身に背負ってこの舞台に立つ。
(4)番 プローラーティオー(浦和)
圧勝したデビュー戦から将来を期待されたが、勝利はその1勝だけ。重賞級が舞台になると、歯が立たない競馬が続いているのが現状だ。ただ向正面まくりのような乱暴な競馬をする傾向があり、この相手でも爪痕を残そうと、戦線をかき乱す可能性は否定できない。おとなしくしてくれた方が、有難い馬は多いだろうが・・・。
(5)番 フレンドローマ(大井)
2歳時に短距離重賞のジェムストーン賞で2着があるように、スプリント戦を中心に使われてきた馬。それを考えれば京浜盃9着と羽田盃7着は、思ったより健闘しているといえるかも。しかし更に距離が延びるこの舞台で、これ以上の走りを期待するのは厳しい。今後の糧になる走りができれば、御の字だと思う。
(6)番 テディージュエリー(川崎)
2走前に中央未勝利交流を勝ち、前走東京湾カップも見せ場十分の4着。後方をついて回っただけだった1月のブルーバードカップ当時より、力をつけているのは確かだ。だからここで可能性があるとはいえないが、この先秘める可能性を測ることはできる舞台になるはず。今ある力を思い切り発揮してほしいものだ。
雲取賞と羽田盃でともに逃げ、スピードという部分ではこの路線に於いて屈指の存在といえる。しかし羽田盃では京浜盃組を前に抵抗できずに捕まったことから、逃げてどこまでという競馬では厳しいかもしれない。ただ2度目の鞍上となる吉原寛人騎手が、無策で臨むとは思えない。そこにレースの見えざるカギがあるように感じる。
(8)番 ナチュラルライズ(中央)
京浜盃は2着に6馬身差、前走羽田盃は同5馬身の差をつける圧勝劇。まだ粗削りな中でこれだけのパフォーマンスを披露するのだから、まともなら2冠の最短距離にいるはずだ。ただし前走羽田盃後に横山武史騎手が“疲れました”と語るほど、制御が難しいのが最大の課題。ライバル云々の前に、自身との戦いに勝つことが求められる。
(9)番 カゼノタイガー(大井)
JBC2歳優駿4着から、乗り方次第で長い距離でも戦える印象もあったが、南関東移籍後のダート統一グレードはいずれも大敗。唯一の好走も1400m戦だったことから、明確に距離の壁があると考えていい。余程の乱戦になればともかく、最後方からバテた馬を1頭でも多く交わすことが現実的な目標だろう。
(10)番 ウィルオレオール(北海道)
前走北斗盃はスタートから厳しいラップを刻みながら、ソルジャーフィルド(JBC2歳優駿1着)とのマッチレース。最後は競り負けたが、見ごたえ十分な走りだった。ダート統一グレードはこれまで入着ラインも、あの厳しい競馬が身になっていれば、それ以上も期待できる。大勢逆転の魅力があるとすれば、この馬かもしれない。
(11)番 ミーヴァトン(川崎)
クラウンカップを制した際は乱戦に乗じた漁夫の利という印象が強かったが、前走羽田盃6着なら力もつけているのだろう。更に距離が延びるのはいいと思うが、ナチュラルライズに羽田盃でつけられた3.6秒差を逆転できるかとなれば、果たしてどうか。乱戦になった時に、一縷の望みをかけたいところだ。
(12)番 ケンシレインボー(船橋)
息の長い末脚で抜け出した前走東京湾カップをはじめ、地元船橋では5戦4勝と、このレースが船橋で行われるなら注目に値する存在だったはず。しかし船橋以外ではここまで連対がなく、その部分が課題になっている。大井コースも雲取賞で9着に終わっており、当時より力はつけているとしても、課題が多い1戦だと思う。
(13)番 シーソーゲーム(大井)
元中央馬は何らかの権利を取らないと事実上出走できないが、前走盛岡に遠征したダイヤモンドカップを制して、それを掴んだ。この時のレースレベルには疑問符が付くものの、2走前の1800m1分54秒4(不良)は、羽田盃なら4着相当。相手強化に対応できれば、この舞台でもチャンスはあるのではないか。
(14)番 カナルビーグル(中央)
前走ユニコーンSは一瞬行き場を失いかけた所から、鋭く抜け出した一瞬の切れ味が見事だった。しかしあの切れ味が速い時計が出る中央の馬場だったからとなれば、パワーを要する大井コースになるのは、いい材料ではない。昨年このレースを制したラムジェットが本番も制したように、力があれば対応できるけれど、この馬はどうか。
(15)番 スキャロップ(大井)
デビュー2連勝のあとは重賞中心のローテーションを歩んでいるが、重賞では地元馬同士でも秒単位の大敗が続いている。前走こそ条件戦で見せ場を作っているけれど、あの走りにこの舞台で好走できそうな要素はどこにもない。オリンピック精神での参加といえそうだ。
(16)番 クレーキング(中央)
前走ユニコーンSはスタートで出遅れ、巻き返すために早目に動いた分もあり、最後の競り合いで伸び切れなかった。それでも2歳時にナチュラルライズと差のない競馬をした地力は、再確認できた1戦だったと思う。初コースなど課題は少なくないが、それをクリアできれば、一気に頂点に立つシーンがあっても驚かない。
(詳細な出走表は地方競馬全国協会のオフィシャルサイト等で確認してください)
1着 (8)番 ナチュラルライズ(1番人気)
2着 (16)番 クレーキング(2番人気)
3着 (13)番 シーソーゲーム(6番人気)
ナチュラルライズ・・・最初の直線で折り合いがつかずにハナに立った時には、戦前に指摘した“自身との戦い”に敗れたと正直思った。それでも1コーナーからペースを落として後続を引き付けると、落ち着きを取り戻すことができた。そのまま自身のペースを守ると、最後の直線で再び後続を突き放し、着差以上の走りで2冠制覇を果たしている。
レース後に横山武史騎手は、逃げる形も想定しながら戦いに臨んでいたと振り返った。その視野の広さが慌てずに戦えた理由であり、最大の勝因にもなった。気性的な幼さを抱えながらこれだけ走れるなら、その成長が見られた時にどんな走りを見せてくれるのか。まずは秋のジャパンダートクラシックで3冠制覇を目指すことになるが、その舞台が今から楽しみである。
シーソーゲーム・・・外枠からスムーズに加速すると、3番手で流れに乗る。すると3角からナチュラルライズを捕まえに行く積極的な競馬を見せ、4角では背後まで迫れたものの、それ以上迫ることが出来なかった。最後2着も失ったのは勝ちに動いた分で、負けた馬で最も中身の濃い競馬をしたのは事実。その一方、前々走でこの馬が影すら踏めなかったヴァンディヴェールの存在を、クローズアップさせることにもなった。
カナルビーグル(5着)・・・有力どころでは最も後ろでレースを進めていたが、3角手前でステッキが入っては、さすがに厳しい。関係者は状態面を指摘していたが、今回は力負けと評したい。
