11月に行われた、ダート統一グレード競走の振り返り(JBC2歳優駿、武蔵野ステークス、浦和記念、兵庫ジュニアグランプリ)
2024年 11月 29日
自身の体調等の問題により、ツイッター上で見どころを掲載している競走でも、振り返りができないことが増えております。特に統一GⅠ以外のダート統一グレード競走が、現時点で振り返ることが出来ないでおりました。そこで後日掲載予定だったコラムで振り返る予定だったJBC2歳優駿と、その後に行われたダート統一グレード競走を、ここで簡単にまとめて振り返ります。
ソルジャーフィルドが、4年ぶりに地元にタイトル奪還-JBC2歳優駿(11月4日)
JBCとして行われるようになって以降、前半から厳しい流れになる傾向にあったが、今年もそういう展開になった。その結果、離れた後方にいたソルジャーフィルドが豪快な追い込みを決め、第1回のラッキードリーム以来、4年ぶりにタイトルを地元へ取り戻した。
レースは地元前哨戦のサンライズCと同様にエイシンキャプテンが逃げて、4戦無敗で迎えたリコーススパローがマークする展開。ただ当時の前半1000m64.3秒が、今回は同61.9秒と、2秒以上も速い流れ。その流れにも関わらず、向正面でダノンフェルゼンが内をすくうように先頭に抜け出したことで、先行勢は更に厳しい戦いになってしまった。
勝ったソルジャーフィルドはこの時、入れ替わりが激しい先行集団から5馬身ほど離された後方3番手。しかし3コーナー過ぎから前との差を詰めに行ったときの反応が抜群で、これなら届くのではという印象を与えたほど。直線に向くと中団から先に抜け出していたタガノマカシヤを残り200m付近で捉えると、あとは突き放す一方。2着に3馬身差をつけてゴール板を駆け抜けたのである。
ソルジャーフィルドは2戦続けてリコースパローを捉えられない2着でこの舞台を迎えたが、前走サンライズCは直線で外へモタれる場面があり、まっすぐ走れていたらという印象はあの時でもあった。それが今回は直線でまっすぐ走れていたことから、展開の追い風があったとはいえ、前走からの成長を示す走りだったと思う。次走は全日本2歳優駿という話だが、来年の3歳3冠路線でも期待したくなる勝ち方だった。
2着に入ったグランジョルノは、先行集団にいたものの、その中では後方に位置していた。3コーナーから前との差を詰めに行き、直線で前を捉えようとした所で外からソルジャーフィルドに交わされて、一瞬ひるんでいなかったらどうだったか。そこから良く立て直したといえる2着で、デビュー2戦目でこれだけ走れたなら上出来といっていいだろう。この馬も次走は、全日本2歳優駿を予定している。
直線で一旦は先頭に立つ場面を作ったタガノマカシヤは、結局3着。今回に関しては強気な競馬をしたことが、結果につながらなかったという内容。ただ500万下から戦えるので、そこはすぐにでも卒業できるはず。あとはトップクラスの戦いに、どこで戻ってくるかではないだろうか。
地元の期待を集めたリコースパローは、3コーナーで一杯になり、9着に終わった。一気に厳しくなったレースの質に対応できなかった1戦で、この敗戦を糧に成長できるか、今後問われるだろう。なお同馬は、南関東に移籍するという情報が入っている。
次なる王者となるべく準備が整った、エンペラーワケアの走り-武蔵野ステークス(11月9日)
JBCのアンダーカードであるとともに、ここでの好走から飛躍する馬も少なくない1戦。特に今回は今年の根岸Sを強い内容で制したエンペラーワケアの戦いぶりが注目されたが、最後の直線で狭い所を抜け出し、今後に期待が膨らむ走りを披露した。
勝ったエンペラーワケアは好位のインで機を窺っていたところ、直線に向いた所で失速した先行勢が絡む形でゴチャつき、スムーズに外を回ったペイシャエスとサンライズホークに先に抜け出されてしまう。しかもその2頭が壁になる状況にもなったが、その間を強引に割って出て、突き抜けたのである。決してスムーズとはいえなかった戦いでこの走りを見せられると、来年の短距離戦線はこの馬が主役となりそうな雰囲気すらある。この後はフェブラリーSに直行するということだが、そこでどんな走りを見せるか注目したい。
2着以下は簡単に触れるが、統一グレード初参戦のカズペトシーンが後方から届いて2着。近況の充実ぶりを示したものの、展開利があったことは認めないと行けない。一緒に追い込んで3着だったペリエールは、このまま善戦マンで終わってしまいそう。むしろ久々のマイル戦でも好位から一旦先頭に立ったペイシャエスが、最後4着になったものの、中身の濃さは目立った。これを機に、マイル未満への路線変更も視野に入るかもしれない。
本物だったみやこステークスでの走り。アウトレイジが圧巻の6馬身差-浦和記念(11月20日)
統一GⅠ路線の最中にある、チャンピオンディスタンスの統一GⅡ。各馬が様々な思惑を秘めながら繰り広げられる1戦を制したのは、この秋から統一グレード戦線に加わって来たアウトレイジ。4角手前で逃げるメイショウフンジンを捉えると、あとは後続を離す一方の圧勝劇。この路線にまた1頭、興味深い存在が登場した。
勝ったアウトレイジは前走みやこSで、先行馬総崩れの展開ながら2番手で粘った、中身の濃い2着。改めて徹底先行タイプが揃ったこの1戦は、試金石といえる戦いだった。しかし行きたい馬を行かせた3~4番手を余裕十分に追走すると、2周目3角手前から気分よく上昇。その勢いで突き抜け、最後は2着に6馬身差。差し馬が力を出し切れなかった部分を差し引いても、前走みやこSが本物であったことを示す走りを披露した。しばらくはタイトルを積み重ねることを目指すことになるだろうが、それができる力はあると思う。
ここでも2着以下は簡単にまとめるが、同じ位置にいたライトウォーリアが、直線で良く伸びて2着。勝つならもまれず逃げる形という馬が、こういう形で結果を出したことは収穫だ。3着メイショウフンジンは、マイペースの逃げを打てたことで巻き返したが、それでも大きな着差をつけられたのが、この馬の現在地といえよう。
1番人気になったディクテオンは、優等生な戦い方をさせようとしたのが大失敗。伸びあぐねて4着になったのは、向正面捲りのような少々乱暴な戦い方が、この馬に合っているということだ。引退を表明した森泰斗騎手騎乗で注目されたナニハサテオキは5着。2周目向正面で動いたものの、良い脚が一瞬で終ってしまった印象。ただ前走埼玉新聞栄冠賞より1秒以上時計を詰めているなら、凡走とはいえないと思う。
最後に抜け出したハッピーマン。幸せな未来は待っているのか-兵庫ジュニアグランプリ(11月21日)
全日本2歳優駿の前哨戦として、毎年注目を集める1戦。今年も素質馬・実績馬が揃う中で行われたが、最後に抜け出したのはハッピーマン。切れ味鋭い末脚で直線抜け出し、出世レースを制している。
ハッピーマンはスタートで安目を売ったこともあり、最初の1コーナーでは中団付近。ただここで内ラチ沿いに潜り込み、そのコースを最後まで守ったことが、大きな勝因の1つだった。それでも直線に向き、逃げるコパノヴィンセントを捉える際に見せた切れ味は見事で、抜け出してからは抑える余裕もあったほど。新馬戦でアメリカンビキニ(後に米ブリーダーズカップジュベナイルフィリーズ出走)を破った素質を、披露した1戦だったと思う。
ただ道中内ラチを外さず、ロスのない戦い方ができた点は割り引く必要がある。勝ちタイムの1分29秒7も、2週前に行われた3歳地方全国交流の楠賞と同タイムと言えば聞こえはいいが、この日は条件戦で比較的速いタイムが出ていたことを考えれば微妙に映る。次走に予定している全日本2歳優駿で、真価が問われることになるだろう。
2着は逃げたコパノヴィンセントが粘った。デビュー2戦では逃げなかった馬をハナに導き、マイペースに持ち込んだのは、地元の吉村智洋騎手を起用した効果か。それでも勝ちきれなかったという考えも事実で、結果とイコールの評価となると難しい気がする。こちらも次走は、全日本2歳優駿を予定している。
3着のヤマニンシュラは、逃げるコパノヴィンセントの直後で上手く立ち回ったが、直線で伸び切れず。結果的に3着まで道中内ラチ沿いを走れた馬で占めたように、道中のコース取りの差も、結果に影響した部分はあるかもしれない。そう考えれば唯一の中央2勝馬だったコスモストームが、終始外々を回らされて5着という結果は、悲観しなくて良いのかもしれない。
地方勢は中団で上手く立ち回ったヴィグラスデイズが4着で最先着。距離延長に対応できたのは収穫だったといえる。兵庫ジュベナイルCを勝っていたラピドフィオーレは後方のまま7着に終わり、地元勢は今年も厳しい結果に終わった。
(詳細な結果は地方競馬全国協会および日本中央競馬会のオフィシャルサイト等で確認してください)
