JBCクラシック概況-中央勢は出走枠を巡る争いが混沌。地方勢は南関東以外の実力馬に参戦期待
2024年 10月 20日
“Road to JBC”として実施された日本テレビ盃およびジャパンダートクラシックの詳しい振り返りは、各レース前に掲載した見どころの記事へのコメントを参照ください。
またこの記事を掲載した20日にJBC各競走の中央所属選定馬が発表されましたが、選定馬の情報は記事に反映しておりません。前日までに掲載しているJBCレディスクラシック及びJBCスプリントも同様ですので、ご理解いただくようお願いします。
<帝王賞上位組は揃ってJBC参戦意向も>
例年のJBCクラシックは、帝王賞から秋初戦で臨む実績馬が数多い。そこで6月26日に行われた帝王賞上位組の動向を、ここでまとめたい。
その帝王賞を制したのは、昨年のJBCクラシックも制したキングズソードだった。2戦とも逃げ馬の外を余裕十分に進め、直線で抜け出す内容で制しているが、秋は早々に連覇がかかるJBCクラシックを秋初戦にすると明らかにした。これまで広いコースの経験しかなく、1週1100mの佐賀でどういう走りができるかが課題になるが、先行力は武器になるはず。連覇が多いレースでもあり、その可能性は十分あるといえよう。
2着に入ったウィルソンテソーロは、これが3度目の統一GⅠ2着。その全てで違う戦い方をしながら頂点を射止められていないが、この路線の中核を担う存在にこの1年でなったのは確か。秋初戦に選択したコリアCも2着に終わり、勝利の味をここでも味わえなかったのは痛いが、小回りコースを経験しているのはキングズソードにない強み。頂点の座を射止める、大きなチャンスかもしれない。
後方からの競馬で3着に入ったディクテオンは、9月23日に行われた白山大賞典を秋初戦として、ここを快勝。これで統一グレード3勝目を手にしたが、これでも賞金面では厳しい立ち位置にある。小回りコースで発揮する強烈な捲り脚は、出てくれば脅威になると思われるが、果たしてこの舞台に間に合うだろうか。
この他に帝王賞に出走していた中央勢をまとめると、7着だったノットゥルノは2月に同じ舞台で行われた佐賀記念に参戦(1着)したように、当初からこの舞台を意識していた。当然ここにもエントリーしてくるだろう。また帝王賞3連覇を狙っていたメイショウハリオは9着に終わったが、秋初戦に選んで日本テレビ盃3着で復調の兆しを見せた。休み明けだった過去2年は結果を出していないので、使ったことをプラスにして臨もうとするはずだ。
<中央勢は帝王賞不出走組と、3歳馬の参戦意欲は乏しいか>
9月25日に行われた日本テレビ盃は、米ブリーダーズカップクラシックに遠征するウシュバテソーロの壮行レースという雰囲気が漂っていたが、勝ったのはウィリアムバローズ。単騎逃げからウシュバテソーロの追撃を振り切り、優先出走権を獲得した。展開に恵まれた印象はあったが、現在のダート中長距離路線に強力なフロントランナーがいない。スキップしてチャンピオンズCという可能性もあって情勢は流動的だが、出てくれば魅力的な存在になる。
これ以外の別路線組は、コリアCでウィルソンテソーロを破ったクラウンプライドは、チャンピオンズCを目標にする模様。同じローテーションだった昨年は直前に体調を崩し、JBC参戦を取りやめたが、今年は先手を打った形かもしれない。またシリウスS連覇を果たしたハギノアレグリアスも、チャンピオンズC1本だという。賞金的に厳しいところもあり、この選択はやむを得ないと思う。
また今年から創設された3歳3冠路線は、10月2日に最終戦のジャパンダートクラシックが行われ、勝ったのは米ブリーダーズクラシックに遠征するフォーエバーヤング。JBCという賞金でどうかという形になったが、東京ダービー馬ラムジェットでも賞金的には相当厳しい。エントリーする馬がしたとしても、参戦は厳しそうである。
<地方勢の大将格はライトウォーリアも、高知勢の動向は見逃せない>
ここから地方勢を取り上げるが、大将格となれば今年の川崎記念を制したライトウォーリアだろう。当時は2-3着が牝馬だったことでレースレベルを問う声はあったが、これまでもダート統一グレードで大きく崩れていない馬。秋はコリアCから始動して4着だったが、悪い内容ではなかった。もしウィリアムバローズが回避するなら単騎逃げできる可能性もあるため、展開面でもカギを握る存在だ。
南関東勢では昨年のジャパンダートダービーを制したミックファイアと、大井記念を制して南関東ナンバー1の称号を手にしたサヨノネイチヤも、参戦してくれば十分戦える力を持つ。ただ2頭ともマイルチャンピオンシップ南部杯を秋初戦に選んでおり、そこから3週間後のJBCに参戦するか、微妙な印象がある。出てくるようならレースのクオリティも高まると考えているが、動向に注目したい。
南関東勢以上に動向が気になるのは、高知勢だ。昨年の高知3歳3冠馬で高知県知事賞も制したユメノホノオは、今年の最大目標としてJBCクラシックを挙げていたという話を聞くが、福永洋一記念に珊瑚冠賞と地元重賞で連続2着。元々高知の外へ出た経験がないため、これでトーンダウンしている可能性はあるが、それでも遠征してほしい存在なのは確かだ。
また高知勢といえば今年、3歳馬のレベルが非常に高かった。それこそ東京ダービーとジャパンダートクラシックで地方勢最先着を果たしたシンメデージーと、同馬不在で争われた高知3歳3冠を制したプリフロオールインの2頭だが、恐らく参戦を期待する声はプリフロオールインが上ではないか。地元ではシンメデージーより強いという声も少なくなく、こちらが全国区相手にどれだけ戦えるかは誰もが見たいところ。中央の3歳馬が参戦困難なこともあり、世代レベルを問う意味でもいずれかの参戦は見たいと思っている。
<“隠し玉”がいるなら、ホッカイドウ競馬のナンバー2グループ?>
もっともここまで挙げた馬たち以上に、地方競馬ファンが参戦してほしいと思われているのが、ホッカイドウ競馬のベルピットだ。今期はマイル以上で行われる地元重賞を完全制覇し、しかもその大半が圧勝。昨年の道営3歳3冠でも凄みを感じる走りを見せていたが、更にスケールアップした印象で、地方現役最強と考える人も少なくない。
しかし今期は開幕前から地元専念を公言しており、次走はシーズン最終戦として11月7日に行われる道営記念の予定。これが覆ることはないだろうが、だからこそ気になるのは、その2番手グループがどういう判断をするかである。
つまり道営記念に出てもベルピットにかなわないと考えた時に、JBC参戦という選択が十分にあり得るからだ。特に昨年の道営記念を制したシルトプレは、昨年5着だったエルムSで4着と、統一グレードで結果を出している。他にも中央時代に統一グレードタイトルがあるアナザートゥルースとスワーヴアラミス、昨年の道営3歳3冠で全てベルピットの2着だったニシケンボブと、実力馬は枚挙にいとまがない。この中から“隠し玉”のような形で参戦する馬がいるなら、大いに注目したいものである。
ダート競馬も世界で結果を出すことが驚きでなくなったことに、JBCが多大な貢献をしてきたことは間違いない。その結果として3歳と古馬の王者が海を渡って世界と戦うことに、寂しさがないと言ったら嘘になる。しかし残された馬たちの戦いが国内最高峰にふさわしくないとは決して思わない。佐賀の地で頂点に立つ王者に対して万雷の拍手を送る準備をしながら、決戦の日を待ちたいと思う。
