コラム 2022年のダート2歳戦線を振り返る
2022年 12月 28日
例年、11月中にJBC2歳優駿の戦評記事を含むコラムを掲載していましたが、自身の緊急入院もあってできませんでした。そこでこのタイミングで、JBC2歳優駿と全日本2歳優駿の振り返りを中心に、地方生え抜き(ホッカイドウ競馬と南関東デビュー組に限る)の2歳世代を考察することにしました。
・早目の門別入厩が奏功。ゴライコウが向正面捲りで地元勢を撃破-JBC2歳優駿戦評
まずはJBC2歳優駿から振り返るが、レース名が変わってからの過去2回、ハイペースになって末脚勝負の馬が結果を残していた。それ故に今年も前半のペースが注目されたが、逃げたエコロアイスの前半1000mは61.9秒。落ち着いた流れになったことが、その後のレースのアヤを生んだ。
その落ち着いた流れで勝負に出たのが、スタート直後は後方にいたゴライコウだった。向正面から動き、大外から1頭1頭交わしていくと、4角でついに先頭に。最後の直線で後続が迫ろうとする雰囲気もあったが、最後は突き放してゴール。昨年に続き、中央勢がタイトルを手にする結果となった。
そのゴライコウだが、早目に門別に入厩してから追い切って、ここに臨んでいた。日程と地理的な理由、そして門別は屋内坂路で調教できることから、今回の中央勢ではこれを含む3頭が門別で時計を出していた。ただ他の中央勢と違っていたのは、鞍上に地元の石川倭騎手を起用し、追い切りでも騎乗していたこと。そこで馬の特徴を掴めたことは、大きなプラスになっていたはずだ。
それでも向正面から動いて押し切るには相当な地力が必要で、そのアドバンテージだけで勝利を掴んだわけではない。これらの取り組みを通じて秘めた素質が開花したと、評するのが正しいのではないか。ただ今回手綱を取った石川倭騎手は継続的に騎乗できないため、中央所属騎手になっても結果を出せるかはカギになる。今回出走した中央勢が全て1勝馬だったこともあり、今後成長する馬との力関係も問われるだろう。
2着に入ったベルピットは、2番手追走から勝負所で一旦下がるものの、直線で盛り返した。揉まれる競馬を経験していれば、勝負所で下がらず済んだかもしれないし、それならもっと際どい勝負ができたとも思う。だが地力がなければ巻き返すことすら叶わないはずで、道営勢のエースとしてこの舞台に立ったプライドは示すことはできた。この経験をスケールアップにつなげれば、来年以降も期待できる存在になる。
3着リアルミーと4着オーマイグンエスは、別の機会に詳しく触れたい。敗れた中央勢では、逃げたエコロアレスは直線で失速して7着。力んで走っていた雰囲気から距離は長い印象を抱いたが、それを証明するように12月、中山1200mの500万下を勝利。短距離路線で台頭してくれることを、今後期待したい。
・タフさが求められた舞台で凄みを見せたデルマソトカゲ-全日本2歳優駿戦評
ここからは全日本2歳優駿を振り返る。JBC2歳優駿の1-2着馬を除く活躍馬が集結したこのレース。この日はホームストレッチの外側が走りやすく、ここでも外枠勢が先行集団を占めたが、逃げたのはエーデルワイス賞を差して勝ったマルカラピッド。これが大外枠から思い切って逃げたことで、前半3ハロン35.6秒というハイペースで序盤は流れた。
勝ったデルマソトカゲは、先行集団を占めた外枠勢から、少し離れた中団からの競馬。その後3角から徐々に差を詰め始めると、最後の直線では大外に。すると外が走りやすい馬場も味方に、先に抜け出したペリエールの内から出し抜いたオマツリオトコをゴール寸前で捉え、2歳馬の頂点に立ったのである。
勝ったデルマソトカゲは、前走1800mの500万下を勝っての参戦。長い距離を使われ続け、マイル戦の流れについていけるかに課題があったが、しっかり対応できていた。しかも前が早くなってタフさを要求されたことで、かえって長い距離で結果を出していたことが強みになったのが勝因だ。また併せて触れたいのは、とにかくパドックでの雰囲気が抜けて良かったこと。どの馬もしっかり仕上げる統一GⅠクラスで、あそこまで抜けて他より良く見せるケースは珍しい。その状態面の良さも、タフな競馬に対応できた理由といえるだろう。
中央勢でこのレースを制する馬は近年、既にマイルを超える距離で実績を持つ馬が多い。そしてそれらの馬は、古馬になっても統一グレード戦線で活躍しているケースが目立つ。その意味でデルマソトカゲも来年以降、活躍を十分期待して良さそうで、是非とも世代を牽引してほしいものである。
兵庫ジュニアGPを制し、ダート3戦無敗で迎えたオマツリオトコは2着。勝負所で先にペリエールに抜け出されてしまい、外に出しては間に合わないと内へ切り替えた横山武史騎手の判断は見事。ただ伸びない内へ入れた分だけ、抜け出してからのひと脚が残っていなかった結果だ。中身の濃い競馬だったと思うが、来年以降という意味ではずっと短い距離を使われてきた馬。それだけに来年は距離との戦いという要素が加わるはずだ。
デビュー2戦2勝で1番人気に推されたペリエールは、4角で一旦抜け出したが、最後伸びずに3着。勝負所で上がっていった際の勢いは目を見張るものがあったが、結果的に早仕掛けだった印象。ただメンバー中最小キャリアだったため、その経験値の差もあったといえ、来年以降の成長が楽しみな存在といえよう。
同じ川崎で行われた鎌倉記念を制し、南関東の期待を背負ったヒーローコールは4着。この日は外が走りやすい馬場と紹介したが、内枠を引いたために位置取りが普段より後に。その後も外に出せず、勝ち負けに加われずに終わってしまった。馬場の有利不利がなかったらという印象は拭えず、互角の馬場でもう1度見てみたいところだ。
・統一グレードで勝てなかった今年の道営勢のレベルは?
JBC2歳優駿出走組は、当時3着だったリアルミーは、当時と同様後方から。ただ器用さを要求される川崎コースに対応できなかったか、最後差を詰めただけの6着に終わった。明らかに広いコース向きで、今回の結果は参考外だろう。なおレース後、船橋に移籍しており、南関東の3歳路線を歩むことになる。
また当時4着だったオーマイグッネスは、輸送で大幅に馬体を減らした結果、ここは終始最後方で終わってしまった。ただJBC2歳優駿では逃げられずに徐々に位置取りも下げる格好から、直線巻き返す走りを見せていたので、これが実力ではないのは明らか。まずは馬体の立て直しが求められるが、このまま終わることはないとみている。
また鎌倉記念と兵庫ジュニアGPで2着だったスペシャルエックスは、初めて2番手からの競馬になると、3角でズルズル後退して13着。距離的に限界がありそうだし、現状では逃げる競馬ができないと脆い印象も与えた1戦だった。
結果的に今年はホッカイドウ競馬デビュー組が、2歳ダート統一グレードを制することが出来なかった。中央の芝で2頭が勝利を挙げたことから、今年はレベルが高いという声が大きかったが、個人的には凄みを感じる馬があまり出なかった印象だ。それは最後まで何が勝つかわからないような、激しい戦いが少なかったからではないか。そういう戦いを経験して強くなる馬が出てくることは確かに期待したいが、もし出てくるなら、まだトップクラスで戦っていない馬かもと思っている。
・ヒーローコール以外にも、魅力ある馬が多い南関東デビュー組
一方で南関東デビュー組だが、全日本2歳優駿4着のヒーローコール以外にも、注目される存在がいる。中でも無傷の4連勝でハイセイコー記念を制したマンダリンヒーローは、向正面で強引に動き、さらに最後に逃げたポリゴンウェイヴに競り勝った内容は秀逸。ヒーローコールがまだ大井を経験していないこともあり、大井で集中開催される3歳3冠路線は、こちらが主役を張る可能性は十分あると思う。
またもう1頭、ここまで3戦無敗で来ているミックファイアも将来性を感じる存在だ。全て逃げて楽勝という内容で、しかも前走で1800m戦も経験している。控える競馬で戦えるかという課題はあるが、今後強い相手と戦う機会が来ることが楽しみである。
さらにデビューから無傷の4連勝でゴールドJrを制したリベイクフルシティは、流れに乗れなかったハイセイコー記念は5着に終わったが、この1戦で評価を下げることはない。これら南関東のトップクラスと道営勢のトップクラスを現状比較すれば、今年は南関東の方が優位に感じる。それがどのように変わっていくか、来年の3歳路線を見守りたいと思う。
――――――――――――――――――――――
このあと、29日に行われる東京大賞典の全頭解説。さらにその後にばんえいダービーの見どころを掲載します。
