JBC2022スペシャルPART2 盛岡「JBCレディスクラシック」全頭解説(16:40発走)
2022年 11月 02日
戦前戦後の日本競馬を支えた牧場に、岩手の小岩井農場がある。6頭の東京優駿優勝馬をはじめとする数多くの名馬を生産した大牧場は、GHQの命令もあって1949(昭和24)年をもって競走馬の生産から撤退を余儀なくされたが、その血は今もなお日本競馬に深く息づいている。今年8年ぶりにJBC(ジャパン・ブリーディングファームズ・カップ)が戻ってきた盛岡競馬場では、2~6レースの競走名に、小岩井農場が輸入した基礎繁殖牝馬の名を冠した。先人たちへの敬意と感謝の念を抱きながら、至高の舞台を楽しみたいと思っている。
今年もダート競馬の、いや日本競馬の最高峰を目指して争われる各レースの全頭解説を行いますが、今年は事前にお知らせしたとおり、JBC限定で私の最終決断(予想)を最後に掲載させていただきます。
盛岡競馬10レース「第12回 JBCレディスクラシック」(古馬牝馬・JpnⅠ・1800m)
初めて盛岡でJBCが行われた2002年、まだJBCに牝馬カテゴリーがなかった当時のJBCクラシックで1番人気に支持されたのは、牝馬のプリエミネンス(2着)だった。このレースができた現在、それだけの支持を受ける牝馬がクラシックに登場する可能性はほとんどないが、牡馬に戦いを臨む牝馬が消えたわけではない。今年は例年になく牡馬相手の統一グレードで牝馬が好走する例が目立ったが、それだけ牝馬路線のレベルが高くなったことを意味する現象だったと思う。
<全頭解説>
(1)番 ゴールデンヒーラー(岩手県)
※馬体故障のため出走取消
(2)番 ショウナンナデシコ(中央)
かしわ記念で歴戦の牡馬相手に逃げ切った1戦は、現状今年のダート競馬に於ける最大のハイライトだった。ただ前走のレディスプレリュードで、力負けではないにせよ、3着に負けた結果をどう捉えるか。展開や状態面以外の理由があるなら、それがここでも敗れる綻びになるかもしれない。
(3)番 サルサディオーネ(大井)
さきたま杯で牡馬相手に2度目の統一グレード制覇を成し遂げ、前走日本TV盃も3着。牡馬相手でも戦える逃げ足は、今年も衰えていない。3戦全敗のショウナンナデシコが目の上のタンコブだが、全ての勝利を左回りで手にしているこの馬にとって、今年は最大のチャンスを迎えたといえよう。
(4)番 テリオスベル(中央)
マーキュリーCとレディスプレリュードで、向正面まくりから2着に残った内容から、単騎の場面を作れば力を出すことが証明された。それだけに徹底先行型のサルサディオーネとの兼ね合いは、このレースにおける最大のポイント。そのハナを叩く場面を作ることが、勝利に向けた必要条件になるはずだ。
(5)番 ユノートルベル(岩手県)
母は岩手デビューで後に全国を駆け巡ったトウホクビジン。そのゆかりの地に転入後は、昨秋の青藍賞2着はあるものの、OPでは目立つ結果を残していない。この秋降級してからは調子を上げているが、それがここで戦える材料には全くならない。
(6)番 アナザーリリック(中央)
芝では前走で重賞勝ちを果たしたものの、これがダート初出走。こういう経歴で統一グレードに通用する馬がほとんどいないことは歴史が証明しているが、鞍上は近年ダート競馬で圧倒的な存在感を見せている川田将雅騎手。彼の頭脳に秘策はあるのだろうか。
(7)番 レーヌブランシュ(中央)
前走シリウスSのシンガリ負けは、良くない条件が揃っていたにしても負けすぎの印象。そもそも今年に入って連対がなく、昨年レディスプレリュードを制した時のような勢いに欠けるのが現状だ。今年のエンプレス杯でショウナンナデシコと0.3秒差の競馬があるので、勝負付けが済んだ訳ではないけれど。
(8)番 ジュランビル(大井)
転入初戦だった兵庫サマークイーン賞で、小回りに苦しみながら最後方から追い込んで5着なら、広い盛岡コースが合う可能性がある。更に前走日本TV盃8着は、ゲートで隣の馬が暴れた影響を受けたので参考外。ベールに包まれた能力が、ここで披露されるのか。
(9)番 グランブリッジ(中央)
3歳馬として初めて制したブリーダーズゴールドCは、4角先頭で後続を振り切る強い内容。しかも関東オークス覇者の宿命である、古馬と同じ斤量を背負う中で勝ったことは意味が大きい。馬場不問であることをこの2戦で証明しており、休み明けでも力を出せるなら、世代交代を告げる力はあると思う。
(10)番 プリティーチャンス(中央)
後方から追い込んで届かずの競馬が続いていたが、レディスプレリュードは前が見える位置で戦えたことで差し切り勝ち。勝った自信とともに、あの位置で戦えるなら前に届くという経験値を得たことが最大の収穫だった。その位置取りで今回も戦えるかが、勝利に向けたカギだろう。
(11)番 サルサレイア(大井)
南関東に移籍してから約2年、ダート統一グレードの入着はあるものの、勝利は昨春の準重賞1勝のみ。どんな相手でも入着近辺が指定席で、この舞台でそれを乗り越えられる材料も乏しい。1頭でも多く負かすことが目標になるだろう。
(12)番 ヴァレーデラルナ(中央)
春は2着続きで出世が遅れたが、その相手に後のジャパンダートダービー1-2着馬がいるとなれば、仕方ない面も。裏を返せば古馬相手になって3連勝は地力の証であり、いきなりの大舞台でも格負け感はない。岩田望来騎手がプリティーチャンスを差し置いて、こちらの手綱を取るのも注目だ。
<最終決断>
◎(本命) (12)番 ヴァレーデラルナ
〇(対抗) (3)番 サルサディオーネ
▲(単穴) (2)番 ショウナンナデシコ
☆(特注) (9)番 グランブリッジ
△(連下) (10)番 プリティーチャンス、(8)番 ジュランビル
牡馬相手に今年統一グレードタイトルを手にしている2頭がいるが、それでも夏以降は世代交代に向けた風を感じるのが今の牝馬戦線。それなら統一グレード連勝中のグランブリッジかもしれないが、春に牡馬の世代トップクラスと互角の競馬をしてきたヴァレーデラルナの方が地力は上と考える。統一グレード初出走で古馬GⅠ制覇というのは近年記憶がないが、この馬なら叶える可能性が高いとみて、狙うことにした。
心情的にはサルサディオーネの悲願成就のシーンも見たいが、このメンバーでは楽に逃がしてくれないか。舞台はベストと思えることから対抗以下には下げられないが、自分の形にできなければ、大きく崩れるシーンもあるだろう。
ショウナンナデシコは、解説で触れなかった不安として、時計勝負になってどうかというものがある。前走の敗戦にそれがあるなら、時計が速い盛岡コースはマイナス材料と見て、単穴評価まで。
グランブリッジは休み明けでも力を出せるなら、3歳馬同士の1-2決着まで考えていい。前哨戦を制したプリティーチャンスも、ノーマークにするという選択肢はない。最後は逃げられた時のテリオスベルも考えたが、大乱戦になった時のジュランビルの追い込みを狙ってみた。
(詳細な出走表は地方競馬全国協会のオフィシャルサイト等で確認してください)
このあと、JBCスプリントの全頭解説記事を掲載します。
1着 ◎ (12)番 ヴァレーデラルナ(3番人気)
2着 ☆ (9)番 グランブリッジ(2番人気)
3着 ▲ (2)番 ショウナンナデシコ(1番人気)
今期の牝馬路線を牽引したショウナンナデシコを抑え、3歳世代の1-2決着。夏以降に吹き始めた世代交代の風が、頂点の舞台で既成勢力を吞み込んだ1戦だったが、それを踏まえて戦評記事はまとめる予定です。
