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コラム 「ロンジン ワールドベストレースホースランキング」2021発表-PART2 地方所属馬編

この地方所属馬編では“トップランカー編”で紹介できなかった地方所属馬が、どういった評価を受けたかを紹介いたします。

・ノンコノユメは9歳馬として歴代最高の110。サルサディオーネは昨年より3ポイント上積み

まずは古馬部門の馬を取り上げるが、115の評価を受けたカジノフォンテンミューチャリー。さらにサブノジュニア110の評価を受けたことをトップランカー編で紹介したが、110には帝王賞で2着に入ったノンコノユメも名を連ねた。3歳時からトップクラスで活躍している同馬は、これで110以上は4年連続6度目で、109以上なら7年連続。ダート路線で110の評価を得た9歳馬も初めて(注)で、寿命が長いとされるダート路線でも、これだけ息長く評価される馬は、今後現れないだろう。

その次は106サルサディオーネで、昨年の103より3ポイントを上積みし、古馬牝馬全体を見渡しても単独3位に評価された。意外なのは牡馬相手の日本TV盃(105)ではなく、スパーキングレディーCとクイーン賞2着がベストパフォーマンスと評されたこと。前者は6馬身差の圧勝が、後者は単独トップハンデを背負っていたことが背景にあるが、それ故に日本TV盃の評価が抑えられた印象を与えた気はする。同競走2着のダノンファラオは、ダイオライト記念制覇時と同じ110だったけれど。

南関東の重賞戦線でコンスタントに活躍したタービランスも、サルサディオーネと同じ106となった。106の評価を得たのは川崎記念4着など3競走あったが、その中には京成盃グランドマイラーズ2着もあった。これは勝ったカジノフォンテンとクビ差の接戦を演じたことが評価されたものだが、これを元に同競走のカジノフォンテンを推定すると、何と111(カジノフォンテンの斤量が2キロ重かったため)。地方重賞では2019年の勝島王冠を勝ったモジアナフレイバーの106が最高とされていたが、それを大幅に上回る評価を得たことになる。

一方で過去2年110の評価を得ていたモジアナフレイバーは、今年はJBCスプリント4着などによる104に止まった。過去2年ほどのパフォーマンスが見られなかったのは事実だが、総体的なレーティングが低いスプリント路線を志向したことも、評価を下げた一因と考えている。なお古馬部門で100以上の評価を受けた地方所属馬は、昨年より1頭減の17頭だった。

(注)今年は同じ9歳馬である中央所属のウェスタールンドも、東京大賞典3着で110を獲得している

・11頭がランクインした3歳馬。それでも評価は抑えられた?

スペシャリスト編でも紹介したが、3歳部門は単独トップとなったキャッスルトップを筆頭に、地方所属馬が歴代最高となる11頭がランクインした。これは昨年の2歳部門で、地方所属馬としては過去最高の6頭がランクインを果たした各馬が今年も活躍。それを通じて全体の評価が引き上げられ、結果3歳限定の地方重賞のうち6競走で、勝ち馬が100以上の評価を得たことが明らかになっている。

中でもトランセンデンスが勝った羽田盃と、アランバローズが勝った東京ダービーは、いずれも105。どちらも確認しうる限りでは、レース史上最高の評価を得た。だが東京ダービーを制したアランバローズは、2歳時に全日本2歳優駿で110の評価を得ていた。その時と比較して、東京ダービーのパフォーマンスが5ポイントも低いとはとても思えない。それどころかレースの質を問うならば、ジャパンダートダービーより東京ダービーの方が上だったのではと感じるほどだ。

それに今年の評価が正当だとするなら、昨年の全日本2歳優駿が不自然な高評価になってしまう。だからアランバローズの東京ダービーに対し、私ならキャッスルトップのジャパンダートダービーと同じか1ポイント上に置く。アランバローズ自身が秋以降、目立つ活躍がなかったことを指摘する声もあるだろうが、それは結果論でも自身の適性外の舞台を使い続けたから。それをもって東京ダービーのパフォーマンスを傷つけるのは、筋が違うと思っている。

またダービーGPも、違った意味で評価を抑えられた印象がある。今回の出走メンバーには、デビュー以降100以上の評価を得た馬が6頭出走していたが、勝ったギガキングはまだ100以上の評価を得ていなかった馬。それもあって103評価が抑えられた印象がある。もっともこのレースは、南関東のトップクラスが勝たないと高い評価がされず、年ごとの振れ幅が大きい。昨年制したフレッチャビアンカ(当時岩手所属)が今年南関東で活躍した姿を見ると、今年のようにレベルが高い年もその偏見は影響しているかもしれない。

なお牝馬では、南関東3歳牝馬3冠路線で準3冠となったケラススフィアが、関東オークス2着で100の評価を得た。昨年のアクアリーブルがほぼ同じ実績で100だったので、それに沿った評価だった。

・スピーディキックはエーデルワイス賞を上回る評価を、東京2歳優駿牝馬で獲得

2歳部門で100以上の評価を得た地方馬は、今年は3頭減の3頭。昨年地方勢が制したJBC2歳優駿と全日本2歳優駿を勝てなかった分、減少したと考えられる。地方勢のトップはJBC2歳優駿で2着だったナッジ102。勝ったアイスジャイアントは昨年のラッキードリームを上回る105を獲得しており、2着といえども一定の評価がされた。

また同レース3着のリコーヴィクターも、100で名前が載ったが、一方で兵庫ジュニアGPと全日本2歳優駿でともに3着だったプライルード98(兵庫ジュニアGP)に止まり、名前は載らなかった。

一方で注目したいのは、100の評価を得たスピーディキックの経緯だ。エーデルワイス賞を制した時は99止まりだったが、東京2歳優駿牝馬で100に評価を上げた。両競走を制した馬は2018年のアークヴィグラスがいるが、同馬はエーデルワイス賞で100の評価を得ていた。地方重賞で統一グレード制覇時を上回る評価を得るケースは記憶になく、それだけ東京2歳優駿牝馬が統一グレードに匹敵する競走と位置付けられてきたのかもしれない。

・避けてほしい、ダート競馬界の3極化

ひとつ気になったのは、今年3歳以上で100以上の評価を得た地方所属馬は、全て南関東所属だったこと。象徴的なのは、昨年JBC2歳優駿を制した際に104の評価を得たラッキードリームが、今年ホッカイドウ競馬で3歳3冠を達成しながらランク外だったこと。個人的には厳しい評価と思ったが、レーティングの世界では中央と南関東、そして南関東以外という3極化が加速した印象がある。

確かに南関東は生え抜きの実力馬に加え、中央時代に統一グレード戦線で結果を出した馬が転入することで、質の高いレースが恒常的に行われている。しかし南関東以外はそこまでの環境にないため、レーティングで評価されるには、まず統一グレードで結果を出すことが求められているのは事実だ

例えば兵庫ナンバー1を守ったジンギは、今年統一グレード中心のスケジュールという話もありながら、実際に参戦したのは名古屋大賞典だけ。4着に終わったそこで91の評価では、どんなに地元で強い競馬をしても数字は伸びてこない。また高知ナンバー1のスペルマロンも、地元で行われた統一グレードの黒船賞に出走したものの、力を出せる舞台ではなかった。結果比較材料はほぼ皆無となり、評価したくてもできなかった

地方競馬全体が再び活気を取り戻し、賞金額は確かに上がった。前記した2頭は今年1年で7千万を超す賞金を手にしているが、それは馬の能力を示す指針ではない。歴史的にもバブル経済の絶頂期、賞金的に恵まれていた南関東のレベルが著しく低下して“冬の時代”といわれたこともある。だからこそ未来に夢を与える存在はジンギやスペルマロンではなく、かつて統一グレードで輝きを放ったチャンストウライやグランシュバリエであってほしい。そしてそれが、ダート競馬界の3極化を防ぐことにもつながると思っている。

(参考)勝ち馬が100以上の評価を得た地方重賞一覧

今年も昨年同様、統一グレード以外の地方重賞で、勝ち馬が100以上の評価を得た競走の一覧化を行った。地方重賞でランキングされた馬の評価および、統一GⅠ競走の前に公表されるプレレーティングに加え、統一グレードなどで高いレーティングを手にした馬が勝った競走の一部を、競走名に※印で示す形で追加した(2歳戦は未対応)。なお※印の競走におけるレーティングは、理論上考えられる最高値。実際は100以下も含め、それより低いと推測される。

この他、レーティングの数字に●印がついている競走は、2着以下でランキングされた馬の評価を基にした推定値。同様に★印がついている競走はプレレーティングの数値で、後に上方修正された可能性がある。また馬名の◆は、古馬重賞を制した3歳馬である。

★2歳

東京2歳優駿牝馬-100(スピーディキック)

★3歳

羽田盃(M)-105(トランセンデンス)

東京ダービー(I)-105(アランバローズ)

ニューイヤーカップ※(M)-104(トランセンデンス)

黒潮盃(M)-103(ジョエル)

ダービーグランプリ(I)-103(ギガキング)

雲取賞(M)-102(ランリョウオー)

戸塚記念(Ⅰ)-100(セイカメテオポリス)

★古馬

京成盃グランドマイラーズ(M)-111●(カジノフォンテン)

大井記念(I)-108★(ミューチャリー)

埼玉新聞栄冠賞※(I)-105(タービランス)

報知オールスターカップ(I)-104●(タービランス)

川崎マイラーズ(M)-104(モジアナフレイバー)

金盃(大井)(L)-102(マンガン)

ゴールドカップ(M)-102(ティーズダンク)

マイルグランプリ(M)-101●(ティーズダンク)

フジノウェーブ記念(M)-100(キャプテンキング)

アスター5スター賞(S)-100(ワールドリング◆)

勝島王冠(M)-100(コスミックフォース)

(注)競走名の後のカッコ内は距離区分で、以下のとおりである

S-スプリント(1000~1300m)

M-マイル(1301~1899m)

I-インターミディエイト(1900~2100m)

L-ロング(2101~2700m)


by hirota-nobuki | 2022-02-19 23:15 | コラム | Comments(0)

地方競馬・ダート競馬の発展を願ってやまない博田伸樹(ヒロタ・ノブキ)です。この場を通じて地方競馬・ダート競馬により興味を持つ人が1人でも増えてほしいと願っています。 twitter:@HirotaNobuki


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