人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ハイレベルの戦いがみられた「大井記念」を振り返る

定量戦となった2018年から毎年のように好勝負が繰り広げられ、南関東競馬の今を映す舞台となった大井記念。今年も各馬のプライドがぶつかる激しい戦いとなった。現状は振り返りもツイッター上で行っていたが、今回は少し紙幅を取って掘り下げてみたいと思い、この記事を掲載することにした。

<大井2000mのラップタイムから見えたもの>

まずはラップタイムを分析していきたい。1つ目は前半と上りの3ハロンと5ハロンの時計をまとめたもの。2つ目は過去にこのブロマガで新たな指標として提示した、最初と最後の2ハロンを除いた中間部分のタイムを算出したものである。いずれも比較として、2019年以降の大井記念と、昨年同じ大井2000mで実施された古馬統一GⅠ3競走のタイムも紹介する。

★前半と上りの3ハロン・5ハロンのタイム
      前半3F−前半5F−後半5F−上り3F → 勝ちタイム
2019年 36.2−61.4−63.6−38.7 → 2:05:0(重)
2020年 36.7−61.7−65.7−40.1 → 2:07:4(不)
2021年 35.7−61.6−62.7−37.6 → 2:04:3(重)
帝王賞   37.3−63.9−61.4−36.4 → 2:05:3(重)
JBCクラ 36.5−61.4−61.1−37.3 → 2:02:5(稍)
東京大賞典 37.8−64.9−62.0−36.7 → 2:06:9(良)

★最初と最後の2ハロンを除いた中間部分のタイム
      前半2F−中間6F−上り2F → 勝ちタイム
2019年 23.7−75.8−25.5 → 2:05:0(重)
2020年 24.4−76.6−26.4 → 2:07:4(不)
2021年 23.4−76.5−24.4 → 2:04:3(重)
帝王賞   24.4−77.1−23.8 → 2:05:3(重)
JBCクラ 24.1−73.7−24.7 → 2:02:5(稍)
東京大賞典 24.4−78.5−24.0 → 2:06:9(良)

このデータを並べて見えてきた傾向を紹介すると、前者のデータからは大井記念は前半淀みないペースで進むものの、それで最後まで押し切れないことが。一方で統一GⅠになると、前半のペースに関わらず、後半をしっかりまとめる力が求められていることがわかる。また後者のデータからは、レース全体のタイムが左右される中間部分について、大井記念では大きな差がみられないことがわかった。

<統一グレード級の力を誇示した、ミューチャリーの向正面まくり>

では今年の大井記念が、比較のために取り上げたどのレースに近かったかといわれれば、私は昨年のJBCクラシックと考える。レース直後のツイッターでも、勝ったミューチャリーはJBCクラシックとほぼ同じパフォーマンスをしたと評したが、その理由をここで示したい。

ポイントとして挙げたいのは、3秒近い差がついた後者のデータにおける中間部分である。今回の大井記念は統一グレードで多数の好走歴がある、転入初戦のドリームキラリが序盤速い流れで引っ張ったが、向正面半ばで一杯になったため、中間部分のラップが遅くなってしまった。そこで動いたのが序盤後方にいたミューチャリーだった訳だが、裏を返せばミューチャリー自身は、JBCクラシックのレースラップに近い時計で前との差を詰めていたことになるのだ。

ということはレース後、手綱を取った御神本訓史騎手が「自分でレースを動かした」と語っていた向正面まくりは、実際は自分で動いたわけではないのに一気に前との差を詰めたという次元だった。そこに統一GⅠで差のない競馬を繰り返してきた底力が、誇示されていたと感じている。

一方でこの動きに対応できなかったのが、1番人気のタービランスだった。ミューチャリーに交わされた時に動こうとしたものの、ここから手応えが悪くなって、追走で手一杯に。それでもバテずに3着に食い込んだのは地力の証だが、統一グレードでこれまで勝ち負けに届かない一端を示す格好になった。更にいえば直近5戦連続して統一GⅠを使っていたミューチャリーと、今年の川崎記念が約3年ぶりの統一GⅠ出走だったタービランスが戦ってきた相手の差を突きつけられた結果でもあった。

改めてミューチャリーの話に戻るが、JBCクラシック4着時に獲得したレーティングは107(自身最高は昨年の東京大賞典5着時の108)。それと同等のパフォーマンスと評するなら、レーティング上でも同等の評価にならないとおかしいと考える。このあと帝王賞に出走するならプレレーティングが公表され、そこでこの1戦における評価が明らかになる可能性がある。その情報を見逃さないでいただきたいと思っている。

<フィアットルクスはまだ強くなる可能性が>

最後にミューチャリーとタービランス以外の馬について触れたい。2着に入ったフィアットルクスは4角手前でミューチャリーに捲られながら、直線半ばまで喰らいついた姿が印象的。最後は6馬身離されたが、このメンバーに通用したことは高く評価したい。勢いだけで手にした結果ではないし、大事に使われていることからまだまだ強くなる可能性がある。帝王賞に駒を進めるなら、楽しみを抱いて良いのではないだろうか。

最後タービランスに迫る場面があった4着アングライフェンは、これで昨年のJBCクラシック並みの走り。5着に終わったストライクイーグルも、昨年勝った時のパフォーマンスに近く、ともに自分の力を出し切った格好だ。ただアングライフェンは、現状では左回りの方がハッキリ良い印象で、左回りならこの差はもっと詰まる気がする。

あともう1頭触れたいのがドリームキラリで、元々逃げ馬ではあるものの、1年3か月ぶりの実戦で楽にハナを奪ったスピードは衰えていなかった。今後は中央時代に主戦場だったマイル前後の距離を選んで使われると思うが、いい意味で南関東の古馬戦線に刺激を与えてくれると思っている。

(詳細なレース結果は地方競馬全国協会のオフィシャルサイト等で確認してください)


by hirota-nobuki | 2021-05-26 00:30 | Comments(0)

地方競馬・ダート競馬の発展を願ってやまない博田伸樹(ヒロタ・ノブキ)です。この場を通じて地方競馬・ダート競馬により興味を持つ人が1人でも増えてほしいと願っています。 twitter:@HirotaNobuki


by hirota-nobuki