「佐賀記念」戦評−代打騎乗に応えた山本聡哉騎手! ヒラボクラターシュを統一グレードホルダーに導く
2019年 02月 15日
まずは1番人気に支持されながら3着に終わったテーオーエナジーの話からしたい。好スタートから後続を離す形の逃げになったが、気分良くというよりは、力んだ感じの逃げ。道中のペースが速かったこともあるけれど、見た目以上にスタミナを消耗した結果、勝負所で抵抗できずに終わってしまった。
実は逃げ馬不在だった今回、逃げる形になった時にどうかという危惧は戦前からあった。逃げた経験が多くない上に、初めて逃げたジャパンダートダービーが、改めて見ると今回と同じような力みを感じる走り。その不安が現実となった形で、今回のレースを見ると、逃げ馬を見る形で競馬をした方が力は出せるのだろう。逃げるスピードがあるだけにちょっと厄介だが、このバランスをどう取っていくかが、今後の課題となりそうだ。
一方で勝ったヒラボクラターシュは、抜群のスタートを切った後、行きたい馬を行かせて3番手。事前に“3番手辺りで”というリクエストはあったというが、ここで前を追わず、じっくり構えたのが山本聡哉騎手の好判断だった。そして2周目に入ってから馬なりで差を詰めると、その手応えのまま捲るような形で4コーナーでは先頭に。最後思ったほど差をつけられなかったが、非の打ちどころのないレース内容で勝利を掴みとった。
これまで古馬相手の統一グレードでは、前を追って末を失う競馬で結果を残せなかった。その反省を急遽乗り替わりとなった山本聡哉騎手の手で実行して勝利に導いたことは、称賛に値する。ただ道中の手応えを考えればもっと楽に勝っても良かった1戦で、今の段階で更に上もと期待するのは少し早いか。しかしこの馬も明け4歳世代。どこかで今日の勝利があったから・・・といわれる活躍が見られることを、否定しようとは思わない。
2着に終わったリーゼントロックは惜しい競馬だった。テーオーエナジーにプレッシャーをかけるような立場になり、2周目に入って先頭に並びかけた時も、後ろから来たヒラボクラターシュの動きに併せたところがあった。自分の競馬に徹していれば、勝ったのはこっちだった可能性もあったが、これはレースのアヤだろう。しかしこれでハッキリしたのは、地方のダートに対して高い適性があること。地方移籍で可能性を広げることも、選択肢になるかもしれない。
それをひと足早く実行した地元期待のグレイトパールは、道中4~5番手から追い上げを図ったが、前を行く3頭を脅かすことができず4着止まり。中央時代も後方からのロングスパートが持ち味だったので、あの位置でも行きすぎだったかもしれないが、移籍前に崩したリズムを取り戻していないと考えるのが正しいか。それまで厳しい舞台を避ける手もあるだろうが、だからといって楽な競馬ばかりさせる訳にもいかない。身の振り方が難しくなった印象がある。
あと注目したエイシンニシパにも触れたいが、これも前を行く3頭を射程圏に捉える位置で進めたが、2周目に入って徐々に後退して結局7着。行く気に任せて先行したというより、ペースの違いを判らずに普段と同じ位置取りを求め、自滅した印象。手綱を取った吉村智洋騎手については兵庫ゴールドTでも経験値のなさを指摘したが、再びそれが露呈したと思っている。
<統一グレード初勝利の山本聡哉騎手。これを更なる飛躍につなげるか>
ところでヒラボクラターシュの手綱を取った山本聡哉騎手は、中央開催の代替競馬と重なった影響で遠征を見送った、福永祐一騎手の代打で勝利に導いた。似たような形で中央所属騎手から地方所属騎手への急遽乗り替わりは、2008年のこのレースなど過去にもあったが、その鞍上が統一グレード制覇に導いたのは今回が初めて。と同時に山本聡哉騎手は、これで統一グレード初制覇を果たすこととなった。
山本聡哉騎手は2018年度まで4年連続で、岩手競馬のリーディングジョッキーを獲得。また統一グレード戦線でもラブバレットとのコンビで知られていたが、菅原勲現調教師ら歴代のトップジョッキーほど、全国区の活躍は目立っていない。そういえば昨年はこの時期に南関東で短期騎乗して14勝を挙げたが、同じ岩手から同時期に短期騎乗していた高松亮騎手が面白いように人気薄の馬を持って来ていたことから、お株を奪われた形になったことも記憶している。
今シーズンは南関東で短期騎乗出来ず、ならばとオファーを受けた佐賀で短期騎乗したことで、実現した奇跡だった。この勝利で得たものは自信だけでなく、岩手以外の関係者からの評価が変わったこと。これから各地の関係者からオファーを受ける機会が増えることで更なる飛躍につながってほしいし、その経験を岩手所属馬の統一グレード制覇に導いてくれることにつなげてほしいと願っている。
(詳細なレース結果は地方競馬全国協会のオフィシャルサイト等で確認してください)
