緊急コラム 負傷騎手の復帰。自己判断に任せてはいけない場合も−森泰斗騎手を巡る混乱から思うこと
2018年 06月 02日
5月25日の大井競馬で落馬負傷した森泰斗騎手のその後について、騒ぎが収まらない。救急搬送されるほどの大きな落馬事故に見舞われた後、出走表に名前が乗りながら直前でキャンセルする事態が続いているからである。この動きの中でわからないのは、乗れるかどうかを最初に判断している人が、いったい誰なのかということである。
(参考)この記事を掲載する段階までの一連の動き
5月25日 大井競馬の最終レースで落馬。救急搬送される
5月27日 29日の浦和競馬の枠順が確定。3鞍の騎乗予定が明らかに
5月28日 全治不明の重傷(注)であることが明らかになる。29日以降の騎乗予定が全て乗り替わりに
6月1日 3日に盛岡競馬で行われる「地方競馬JCS」の出馬表に、再び名前が載る
6月2日 落馬負傷により「地方競馬JCS」の騎乗馬が乗り替わりに
(注)頭蓋骨開放骨折、前頭蓋底骨折、視神経管骨折、脳脊髄液漏、眼窩底骨折、脳挫傷
この中でどうしてもわからないのは、29日の出馬表に森泰斗騎手の名前があったこと。これを見て軽傷だったと安堵した人もいたと思われ、私自身もそう考えていた。しかしその後の動きをみれば、確定診断が出ていない段階で安易に乗れると自己判断した可能性を疑いたくなってしまう。それによって結果として、裏切られた気分になった人もいたと思っている。
この混乱を考える上で参考としたいのは、近年スポーツ界で取り組んでいるアスリートの安全対策だ。特にラグビーなどの“コンタクトスポーツ”(接触プレーのある競技)を中心に、脳震盪など事後に危険が及ぶ事象に関して復帰プログラムを策定し、それをクリアしなければ復帰できないルールだ。これにより安易な復帰を咎め、後遺症が残る可能性を減らそうとしている。健康のためのスポーツが、健康被害を生むべきではないという考えがそこにはあるのだ。
翻って今回のケースを振り返ると、29日の出馬表に森泰斗騎手の名前が載ったことで、競馬界にこの考えがまだ入っていないことが疑われる。また公表された診断結果に並ぶ文字と、その後の混乱を見れば、復帰する段階でも見る立場の人は不安を拭えないし、一緒に戦う騎手も恐怖を感じるはず。それをクリアするためにも、負傷内容によっては主催者(地方競馬に関してはNARでも良い)が完治したと認めない限り、騎乗を禁止できるルール作りを行うべきと考えている。
ただしそれを行うためには、復帰に向けたプログラムを導入することはもちろん、医療機関と主催者が緊密に連絡を取り、負傷した騎手を実質的な管理下に置く必要がある。それによって復帰することが出来た時には、誰もが不安を覚えることなく迎え入れられるはず。この混乱を森泰斗騎手1人の問題にしては、いずれ同じことが起きるはず。未来の騎手の安全のためにも、ルール作りに取り組んで欲しいものである。
自己判断で騎乗する森の気が知れない
更には騎乗させる競馬会も頭イカれてるね
