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コラム 岩手競馬2017年度シーズンを総括する

岩手競馬の実質的な2018年度シーズンの開幕が、21日に迫っている。私は2015年度から岩手競馬の情報・予想サイト「勝ちそーチャンネル」内にある予想コーナー「岩手競馬 予想の達人」にて、岩手競馬の重賞競走を予想させていただいているが、本年度も引き続き登場することになっている(詳細は後日お知らせします)。だがその前に、2017年度シーズンをこのブロマガで振り返ることができていない。そこで2017年度シーズンに活躍した主な馬について、個人的な見解を交えながら振り返ることにする。

ラブバレット(笠松GPなど重賞3勝、年度代表馬・4歳以上最優秀馬・最優秀短距離馬)

前年度に年度代表馬に選出されたラブバレットは、重賞タイトルだけで見れば前年制した3競走を今年も制したという形だが、過去3着が最高だった統一グレードで2着2回をマーク。文句なしで2年連続の年度代表馬に選出されることになった。

中でも今シーズンの活躍を象徴したのが、クラスターCでの走りだった。逃げるサイタスリーレッドを外からマークすると、絶妙のタイミングで抜け出し、このレース初となる地元馬制覇の期待が膨らんだ。ゴール寸前でブルドッグボスに差されて2着に終わったが、その相手は今年度のNARグランプリ最優秀古馬牡馬&最優秀短距離馬に選出。夢破れた悔しさはありつつも、自身もコースレコードで走ったことを考えれば、相手を褒めるべき1戦だったと思う。

さらに笠松GP3連覇を果たした後に参戦した兵庫ゴールドTで、グレイスフルリープの2着に健闘。小頭数の競馬になったことが幸いしたとはいえ、中団から差す競馬を披露できたことと、限界を感じていた1400m戦で結果を出したことは大きな成果だった。シーズン終了後に遠征した根岸Sで、コースレコードを演出する快速を披露したことも含め、シーズン終盤の遠征は収穫の多いものとなった

そうはいってもこの1年は、スピードで押し切れる1200mがベストであることが示された年とも考えている。ようやく関係者もそれを感じ取ったか、2018年シーズンは東京スプリントを統一グレード初戦にするという話も伝わる。実現すれば初めて1400m戦以外で遠征することになるが、1200mにこだわっていけば、どこかでチャンスが手に入ると思っている。その前に3月の特別開催で始動する可能性もあるということだが、2018年シーズンもこの馬が話題の中心になりそうである。

エンパイアペガサス(一條記念みちのく大賞典など重賞3勝)

開幕前、ラブバレット以上に注目されていたのはエンパイアペガサスではなかっただろうか。もちろんそれは、南関東に移籍した冬場に報知グランプリCを制して凱旋したことで、停滞気味だった中長距離路線で活躍する姿を望んでいたからである。ただし終わってみれば、一條記念みちのく大賞典桐花賞というチャンピオンディスタンスの2大レースは制したが、期待したほどの存在感を発揮できずに終わった感がある。

その根本にあるのは、マーキュリーCを前に脚部不安で戦線を離脱したことに尽きる。しかも今回からメイセイオペラ記念のサブタイトルがつけられたこともあり、特に地元勢の活躍が望まれていた舞台。そこにエース格として中央勢に臨むことを期待された訳だから、存在感を失うのも仕方なかったのかもしれない。

また勝ったレースにしても、ベンテンコゾウを競り落とした桐花賞はともかく、もっと強い競馬が見られると思った人が多かったはず。その理由は桐花賞後に再移籍した南関東で、金盃(4着)で手綱を取った岡部誠騎手「腰がパンとしていない」というコメントに集約されているのではないか。以前関係者から“強くなるのは先だから、大事に”という言葉があった記憶があるが、大事にするあまりに鍛えが入っていないとすれば、大変残念である。

2018年シーズンも昨年と同様、一條記念みちのく大賞典を目標に岩手に戻って戦う予定と聞く。中長距離路線はこの馬を中心に巡る可能性は当然高いが、この馬に必要なのは目先の結果ではなく、将来大きな果実を手にするために何をするかではないか。その意味で、悩ましい時期を迎えているのが現状かも知れない。

イーグルカザン(赤松杯など重賞3勝)ほか、その他の古馬ダート戦線の活躍馬

今シーズンを語る上で触れずにいられないのは、3シーズンにわたり岩手競馬の顔役を務めたナムラタイタン突然の引退だ。開幕重賞となった赤松杯で3着に敗れると、直後に引退・種牡馬入りを発表。年齢的にいつこの日が来てもおかしくなかったとしても、こういう引き際は想定できなかった。それだけタイミングが合ったといえるが、長年の貢献に対して感謝の想いを伝えたい

その赤松杯を制したのが、中央準OPからの転入初戦だったイーグルカザンだった。結果的に引導を渡す役割を担ったことで、一躍注目を集めることになったが、その後もマイル戦を中心にコンスタントに活躍。結果的にマイル重賞3勝を積み重ねる充実したシーズンとなったが、全て4番人気以下だった上に、いずれも“M3”格の重賞。マイル路線が充実している、岩手競馬の古馬路線の恩恵を受けたのは確かだろう。

また話題性でいえば、開幕時にはB2級だったチェリーピッカー青藍賞を制したことも取り上げたい。上位級と下位級の賞金格差が大きいなどの理由で、岩手競馬では中~下位クラスでシーズンをスタートした馬が、シーズン途中でA級に出世することは困難だった。ただ2017年シーズンはその格差が縮小したことで、このシーンを生み出す後押しがされたといえ、こういう希望を抱ける番組・賞金体系を望みたいものだ。

シーズン終盤には中央OPから転入したタイセイファントムが、絆Cでラブバレットを破ると、トウケイニセイ記念も制覇。結局マイル戦線は、確たる主役が定まらないシーズンとなってしまった。この路線は頂点にマイルチャンピオンシップ南部杯があることで、高いレベルで争うことが期待されている路線。2018年シーズンにその主役に座るチャンスは、多くの馬にあるのではないだろうか。

ベンテンコゾウ(北海優駿など重賞3勝、3歳最優秀馬)
キングジャガー(岩手ダービーダイヤモンドCなど重賞4勝)


3歳世代は2歳シーズンで頂点に君臨したベンテンコゾウが、岩手所属のままホッカイドウ競馬の3歳3冠路線に臨む選択をした。異例ともいえるローテーションは全国的な注目を集めることになったが、北斗盃と北海優駿の2冠を制覇。3冠がかかった王冠賞こそ3着に敗れたものの、大きな称賛を集めることになった。

その内容も超ハイペースをロングスパートで捲り切った北斗盃に対し、北海優駿はスローペースを2番手で折り合って直線抜け出す競馬。400mの距離延長と正反対の展開に対応し、しかもハイレベルで知られるホッカイドウ競馬勢を抑えたことは、底力がなければできなかったこと。地元で勝ち続けてもこれだけの注目と評価は得られなかったはずで、表向きの成績だけでない成果があったと考えている。

一方、主役不在で進むことになった岩手競馬の3歳路線は、シーズンオフに南関東で力をつけたキングジャガーがその穴を埋めた。初戦のスプリングCこそ2着だったが、次走のやまびこ賞から不来方賞まで、全て逃げ切りで重賞4連勝。ハイペースを踏んでついてくる後続をふるい落とす競馬で他を圧倒する姿は、この世代の岩手デビュー組が高いレベルにあることを証明していた。

この2頭の直接対決は当初不来方賞が見込まれていたが、ベンテンコゾウが直前で回避し、ダービーGPがその舞台になった。ここでキングジャガーは逃げたものの早々に失速し、11着に敗退。その逃げ脚は残念ながら、全国区で通用しなかった。片やそれをマークして進んだベンテンコゾウは、押し出されるように先頭に立った分だけ息が持たなかったが、上位を占めたのは軒並み差し馬。勝ったのが3冠を喰い止めたスーパーステションだったことも含め、5着とはいえ力があることを示した結果だった。

2頭はその後、岩手を離れて戦い続けている。シーズン終了前に佐賀に移籍したキングジャガーは、好走を続けながらまだ勝利がなく、古馬の壁に苦しんでいる。片やベンテンコゾウは、桐花賞2着を最後に移籍した船橋でA2級を連勝し、更に期待を膨らませている。キングジャガーはわからないが、ベンテンコゾウは岩手に戻る予定があるそうで、戻るならシアンモア記念が帰厩初戦になる可能性もあるという。岩手に戻るかどうかは別として、岩手生え抜きのダービー馬として、どちらも更なる活躍を期待したいものだ。

チャイヤプーン(金杯・寒菊賞、2歳最優秀馬)

2歳路線は地元ナンバー1が遠征勢を封じる年が続いた南部駒賞で、遠征勢が上位を独占。これを含め岩手デビュー馬は、ジュニアGP以降に行われた重賞を勝てず、低調に推移したことは否めない。終盤戦はホッカイドウ競馬からの転入馬による争いとなった印象だが、その中を勝ち抜いたのがチャイヤプーン。唯一の重賞2勝馬として2歳最優秀馬に選出された。

ホッカイドウ競馬を3戦2勝の成績で10月に転入。岩手初戦となった知床賞はハイペースの流れで目標にされて3着に敗れたが、その後は中団でじっくり構える競馬。すると寒菊賞金杯では鋭い末脚を披露して連勝し、2歳世代の頂点に立つことになった。

チャイヤプーンはホッカイドウ競馬時代から底を見せていないし、2006年のダービーGP3着など岩手競馬で活躍したサイレントエクセルを母に持つことから、岩手競馬ファンは今後も活躍を期待しているだろう。しかし転入馬が2歳シーズンで結果を残したことで、2018年シーズンの3歳戦線は予断を許さない。それはこれから転入する馬が席巻する可能性を、考えなければいけないからだ。

コウセン(OROターフスプリントなど重賞3勝、最優秀ターフホース)
サンエイゴールド(かきつばた賞・せきれい賞)


最後に芝路線を取り上げる。昨年最優秀ターフホースの座を手にしたサンエイゴールドは、昨年勝てなかったせきれい賞を制するなど、今シーズンも芝路線のナンバー1ホースにふさわしい活躍を披露。OROカップで3連覇を果たした大井のロゾヴァドリナを止められなかったのは宿題かもしれないが、2018年シーズンも引き続き芝路線を牽引することだろう。

そのサンエイゴールドから最優秀ターフホースの座を奪ったのが、衝撃的なパフォーマンスを披露したコウセンだった。転入初戦の桂樹杯から、全てのレースでハナを奪う圧倒的なスピードを披露したが、その真骨頂がハーベストC。1000m戦にもかかわらずスタート直後から後続を引き離し、独走でゴール板を駆け抜けると、掲示板には57秒7のコースレコードが刻まれていた。

旧レコードだったカツヤマリュウホーの57秒8(旧3歳認定戦)は、OROパークが開場した1996年にマークされた、いわば伝説のタイム。これだけ長い間破れなかったことは驚きだったが、同じ1996年に岩手競馬でデビューした馬には、あのメイセイオペラもいた。あの時代の輝きを証明する記録が消えることに、少し寂しさを覚えたのも確か。それだけに2018年シーズンは、そのレコードに恥じない走りを求めたいと思っている。

by hirota-nobuki | 2018-03-19 10:00 | Comments(0)

地方競馬・ダート競馬の発展を願ってやまない博田伸樹(ヒロタ・ノブキ)です。この場を通じて地方競馬・ダート競馬により興味を持つ人が1人でも増えてほしいと願っています。 twitter:@HirotaNobuki


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