「TCK女王盃」戦評−中央1000万下卒業生の1−2フィニッシュから見えた、牝馬限定路線の課題
2018年 01月 26日
<実力馬が凡走した要因はどこに>
まずは敗れた2強から振り返るが、期待したララベルは、逃げるオールポッシブルの外につける2番手からの競馬。この位置取り自体は近走と変わりなかったが、違っていたのは1コーナーまでが速かったことと、3コーナー過ぎで先頭に立たされたこと。序盤で力を使っていた上に、早い段階で目標にされたことで、57キロの斤量が余計に負担となってしまった。また詳細は後述するが、当日は内2頭分程度が全く伸びない馬場。そこを終始回らされたことも、最後伸びなかった要因で、今回の結果を必要以上に悪く捉えない方がいいだろう。
なお関係者から、次走に予定しているフェブラリーSをラストランとするコメントが出た。このレースは地方所属馬への優先出走権がないので、賞金順で弾かれる可能性はゼロではないが、完全燃焼する走りを期待したいと思う。
一方のプリンシアコメータは、逃げた近2走と違ってララベルの真後ろから。これまでも揉まれずに流れに乗れた時に良績が集中していたこともあり、勝手が違う揉まれる競馬に嫌気がさしたか、全く見せ場なく終わってしまった。スタートが悪かった訳ではないし、パドックにおける状態の良さが際立っていたことを考えれば、戦術ミスで崩れたと考えるのが賢明か。もしかすると統一グレードクラスでは逃げ絶対というタイプの可能性もあり、次走における戦い方と結果は、今後の評価を決める1戦になると考えている。
<出走枠に滑り込んだ幸運を活かした1−2着馬>
ここで1−2着馬について振り返りたい。勝ったミッシングリンクは3番手からのレースとなったが、ここでララベルの外から併せに行く形で進めたことが大きなポイントだった。というのも当日は2日前の大雪の影響もあり、内2頭分程度が伸びない馬場。逃げる2頭の外から併せに行けば、伸びないところを回避できる上に、内の先行馬を閉じ込めることもできる。これが4コーナーを回ってから抜群の切れ味を発揮できた要因であり、ララベルを沈めることにもなった理由。戸崎圭太騎手の好判断が光った1戦だった。
しかしダートに転じてからの2戦が、いずれも逃げる競馬。しかも減量騎手を起用してのものだったので、ここでは思ったような競馬をさせてもらえないと考えていた。ダートの経験が浅いがゆえに伸び代があったということだが、それにしても強い競馬。牝馬路線に新たなメンバーが加わったことは、間違いないだろう。
2着だったブランシェクールは、序盤は中団にいたが、3コーナー手前からロングスパート。長く脚を使った分だけ、一度は追いついたミッシングリンクに最後突き放されたが、十分に持ち味を活かした1戦だった。思えば過去4勝全てを中山コースで挙げており、ここを一回り大きくした大井コースは走りやすかったという一面はあるだろう。それ故に課題は、違うコースでも結果を出せるかどうか。そうなれば、更なる可能性を期待できそうだ。
ところでこの2頭は、前走で1000万下を卒業したばかり。抽選漏れとなった馬にも同様の立場の馬はおり、出走枠に入れたことに対する幸運もあった。一方で以前にも指摘したが、中央には牝馬限定のダート戦は準OP以上になく、中央所属の牝馬にとって出世しにくい環境となっていることの裏返しでもある。地方競馬が“グランダム・ジャパン”を通じて牝馬戦線の底上げを実現させたように、中央も牝馬限定のダート準OPを設け、力のある馬が出世しやすい環境を用意すべきではないだろうか。
<3着以下で可能性を見せた馬は>
ここまで取り上げなかった馬について、最後簡単に振り返る。3着に入ったラインハートは中団を抜群の手応えで進んでいたが、直線で思ったほど弾けず、3着争いを抜け出すのがやっと。どうしてもこの距離では動くタイミングが難しく、これ以上を望むのは厳しいのでは。何度も書いているように、短い距離でどんな走りができるか見たいところだが。
ファイトユアソングは直線まで脚を溜めていたので5着まで追い込んできたが、これは力を出し切った上での結果。統一グレードでこれ以上の走りを期待するのは、厳しいと考えている。
7着のタガノヴェローナは出たなりでレースを進めたが、それでも中団の位置取り。前走先行できたのは小頭数と軽ハンデによるものといえ、先行できないと厳しいこの馬にとっては、将来を悲観したくなる内容だった。
最後に面白い存在として取り上げたローレライに触れると、最後方から向正面で中途半端に動いたことで、最後の切れ味を失った形。ただし完成するのはこれからで、今回の9着という結果を糧にできる素質は見せたと思っている。
(詳細なレース結果は地方競馬全国協会のオフィシャルサイト等で確認してください)
