ケイティブレイブとカツゲキキトキトの、明暗を分けたもの−「名古屋大賞典」戦評
2017年 03月 31日
ほぼ横一線のスタートから、押して前に出てきたのはケイティブレイブとドリームキラリ。これにカツゲキキトキトも絡んで激しいハナ争いとなるが、枠順の利を活かしてケイティブレイブが最初の3コーナー過ぎで先頭に立つ。ドリームキラリは2番手となり、カツゲキキトキトは3コーナー手前で引き、単騎の3番手。トロヴァオとオールブラッシュがその後位につけ、その後ろからピオネロとモルトベーネが追走する形となった。
ケイティブレイブはドリームキラリのプレッシャーを受けながら、それでも1馬身ほどの差を保って逃げていく。すると2周目の向正面に入ってからドリームキラリの手綱が激しく動くようになり、徐々に2頭の差が開いていく。この2頭から5馬身ほど離れていたカツゲキキトキトは、まだ機を窺っていたが、その外からまくり加減にピオネロに、さらにこれを追ったモルトベーネが交わしていき、ケイティブレイブに迫っていく。この動きに一瞬ひるんだカツゲキキトキトは、ここから動き出すが、立ち遅れた形。前との差が一瞬のうちに広がっていた。
逃げるケイティブレイブは2周目3コーナー過ぎから後続を離しにかかり、最後の直線に向いた時に、2番手に上昇していたピオネロにつけていたリードは3馬身ほど。この差はゴールが近づくにつれて徐々に詰まっていき、さらに立て直されたカツゲキキトキトも猛然と追い込んで来るが、1馬身半凌ぎ切ったところがゴール。ケイティブレイブが4つ目の統一グレードタイトルを手にすることになった。2着にはピオネロが粘り、カツゲキキトキトはこれに半馬身届かずの3着。1番人気だったモルトベーネは4着に終わっている。
<明暗を分けた“自信”というキーワード>
先行馬が揃って厳しい競馬になると予想され、実際に先行争いは非常に激しかった。にも拘らず、逃げ切り勝ちを決めたケイティブレイブは、結果的に役者の違いを見せつけた。確かにカツゲキキトキトとドリームキラリより内枠を引いた利が、ハナを奪えたポイントではあったが、ハナを奪い切れば押し切れるという“自信”が、初コンビとなった福永祐一騎手から滲み出ていた。さすがに最後は脚が上がった感はあったが、他馬より重い58キロを背負いながら厳しい流れを押し切ったことを、最大限に評価すべきだろう。
ただ今回の走りを見て感じたのは、現状ではベストの戦法は逃げではないかということ。逃げずに勝ったレースもあったが、ここまで他馬との力の差を見せつけた走りではなかった。これまでもこの先にどれほど成長していくのか、楽しみを抱いていた訳だが、より楽しみが広がったと感じている。
一方で惜しい競馬となったのが、3着に終わったカツゲキキトキト。前を行く2頭の脚色を窺える単騎3番手という絶好の位置につけながら、自分が仕掛ける前に捲られて位置取りを下げる形。しかも追い出そうとした3コーナーで、下がって来たドリームキラリと捲って来たモルトベーネの間で行き場を失い、手綱を引く不利まであった。そこから巻き返して、あわやの所まで来ていただけに、千載一遇のチャンスを失ったといっても過言ではないかもしれない。
その不利・・・というか不運をもたらしたのは、長きにわたり統一グレードで地方勢が結果を残せていないことにあるのではないか。気になったのはスタート直後、ハナを奪おうと懸命に手綱をしごくケイティブレイブとドリームキラリに、馬なりで張り合えるダッシュ力を披露していたこと。逃げ馬に張り合えるスピードを見せたことが、勝負になるという“自信”につながっていれば、勝利を意識した積極的な仕掛けが打てたのではないか。しかし結果残せていなかった歴史が、勝つために動く“自信”を持てず、不利を受けたことにつながったとしたら・・・。
地の利があり、しかもケイティブレイブと4キロもらって戦えた、今回以上のチャンスはしばらくないだろう。今後はオグリキャップ記念を挟み、平安S参戦を検討しているという話があるが、アウェーの地でどれだけもまれ、力を付けていくかを見守りたいと思う。
<その他の馬の戦評>
2着に入ったピオネロは、前走OP特別で2着に入ったと同じように、向正面でまくり加減に上昇。これで後続を抑えたので、内容としては十分といえるが、前走と同様に逃げた馬を捕まえることができなかった。前走はともかく、今回は相手に4キロのハンデをもらっていた上、前に厳しい流れ。これで捕まえられないとなれば、見た目以上に力の差があったと言わざるを得ない。ただしダートのキャリアはまだ浅い馬。まくり脚に鋭さを増せば、タイトルを手にするチャンスも巡って来るのではないか。
4着以下の中央勢は、自分の形に持ち込めなかったという意味で敗因は共通している。4着のモルトベーネは、いつもと違う後方からの競馬。向正面でピオネロをマークするように上昇していったが、一度は交わしたカツゲキキトキトに交わされる体たらく。前が厳しくなると見込んでこの戦いを選択したかもしれないが、今までもこういう競馬では結果を残していない。差す競馬で結果を出せないことがわかったことが収穫だったといえよう。
川崎記念を逃げ切ったオールブラッシュは、当時のようなダッシュ力は見られず、中団のまま動くことも出来ずに5着。59キロを背負っていたにせよ、川崎記念が恵まれた勝利だったことを証明しただけの1戦。今後も酷量を背負い続けるだけに、前途が暗くなったのではないだろうか。
最後に本命に推したトロヴァオについて触れたい。最初の3コーナーでは4番手につけたものの、1コーナーで早くも鞍上の手綱が動き出し、ズルズル後退。結局シンガリ負け(9着)を喫してしまった。休み明けでマイナス17キロの馬体は、ダービーGP当時に感じた成長分を失った感があり、パドックの映像を見た時から苦しいだろうという雰囲気だった。その体重減の原因は輸送によるものではなく、1週前にマークした5ハロン60秒台という追い切りが、強すぎたためと考えている。南関東は調教から速い時計を出すのが今でも主流だが、調教で消耗しては元も子もない。この後遺症を引きずらないことを願いたいと思う。
(詳細なレース結果は地方競馬全国協会のオフィシャルサイト等で確認してください)
