コラム 岩手競馬2016年度シーズンを総括する(最後にお知らせあり)
2017年 03月 11日
・ラブバレット(笠松GPなど重賞3勝、年度代表馬・4歳以上最優秀馬)
2015年シーズンに特別表彰を受けたラブバレットは、今シーズンも前年に引き続いて笠松GPを制覇。最終的に積み重ねた実績は前年とほぼ変わらなかったが、地元専念組に確固たる実績を積み上げた古馬がいなかったこともあり、前年手にできなかった年度代表馬の座を手にすることができた。
高知の黒船賞からスタートした春シーズンは、統一グレード中心のローテーション。見せ場がなかったわけではないが、入着ラインに届かない競馬が続き、遠征競馬が続いたことで走りそのものに冴えが見られなかった。しかし地元に専念できた夏に栗駒賞と岩鷲賞を制覇して状態を取り戻すと、クラスターCでも前年に引き続き3着と健闘。地方所属馬では屈指のスピードを持つことを、改めて示した夏となった。
秋は青藍賞で2着となると、笠松GP連覇に照準を絞った。そこではホッカイドウ競馬ナンバー1のオヤコダカとの対決が注目を集めたが、好スタートでハナを奪うと、オヤコダカの追撃を振り切って逃げ切り勝ち。コースレコードが出た馬場状態は考慮しないといけないが、前年より1.5秒時計を詰めた事実は、それだけスケールアップしたことを示したといえよう。
兵庫ゴールドT4着を挟み、シーズン終了後に根岸Sに遠征。好位でもまれずに進むと、最後の直線で一旦先頭に立つ、見せ場十分の走り。最後は止まって10着に終わったものの、今シーズンの最大目標となるであろう、統一グレード制覇に向けて可能性は示した1戦だった。と同時に、クラスターCで連続3着に入っているように、この馬のベストは1200mではないかという印象も与えた走りだった。
新年度も統一グレード中心のローテーションになるだろうが、笠松GPを制した時のように、ある程度照準を絞った方が、チャンスが広がるのかも知れない。個人的に地元以外で一番力を出せると見る舞台は、北海道スプリントCが行われる門別1200mだと思うが、岩手競馬の関係者や応援するファンが忘れてしまった歓喜をどこかでもたらしてほしい、2017年シーズンである。
・ナムラタイタン(桐花賞など重賞3勝)
一方、2年連続で年度代表馬を受賞したナムラタイタンは、今シーズンは順調に使えずわずか4戦のみ。それでも桐花賞など重賞3勝を挙げ、相変わらずの存在感を発揮した。
特に存在感を誇示した1戦が、古馬開幕重賞の赤松杯だ。スタートでラブバレットを制してハナを奪うと、そのまま後続を突き離して6馬身差圧勝。昨シーズンからのラブバレットのパフォーマンスを考えても、古豪健在を印象付けた1戦だった。もし2016年シーズンのベストレースを選ぶとするなら、統一グレードを除けばこのレースを選ぶ人が1番多いのではないかと感じている。
しかし直後のシアンモア記念を制した後、長期休養に入り、復帰したのは統一グレードも終わった絆C。ここで新顔のナリタポセイドン(北上川大賞典を含め、岩手転入後3戦全勝)に競り負けると、いよいよ衰えかと感じさせたが、休み明けで状態面が疑問視される中だったこともあり、力は示した1戦。これが戦線を離脱し、ライバル不在となった桐花賞を逃げ切って、今シーズンを締めくくった。
ただしこれだけのパフォーマンスを保てたのは、他馬が不甲斐なかったことも大きい。特に岩手移籍後、地元馬として初めて土を付けたコミュニティが、重賞1勝に終わる不本意なシーズン。ライズラインも衰えは見せなかったが、重賞タイトルは同じく1勝。ライバル不在の中で収めた実績という部分は、指摘しなければいけないだろう。
明けて11歳となる今年も、現役続行を予定しているとのこと。状態が整った時だけ登場する形になるかもしれないが、衰えとの戦いは避けられないはずで、これが勝ち続ける岩手競馬では、やはり問題だろう。ある意味、自身が背負って来た岩手の顔としての看板を引き継ぐ馬を探すシーズンであってほしいが、それについては後述させていただく。
・ミラクルフラワー(一條記念みちのく大賞典など重賞3勝、最優秀牝馬)
今シーズンはナムラタイタンの項でも触れたナリタポセイドンに象徴されるように、開幕後に転入した新顔が存在感を示し、また新勢力の台頭も見られた。その中からここでは、最優秀牝馬を受賞したミラクルフラワーを取り上げる。
ホッカイドウ競馬でデビューした2歳時から、岩手に遠征して結果を残してきた馬だったので、2015年冬に岩手に移籍したのも自然な流れだったか。このシーズンは移籍後4戦2勝だったが、新シーズンはA級戦の2連勝でスタート。その勢いで参戦した一條記念みちのく大賞典は、好スタートから逃げの手に出ると、そのまま後続を寄せ付けずに逃げ切り勝ち。史上初めて、牝馬による一條記念みちのく大賞典制覇の偉業をもたらした。
振り返れば若い頃はスピードタイプの印象が強く、ホッカイドウ競馬時代も短い距離を選んで使われていた馬。私自身もそのイメージを強く抱いていたが、長い距離を使われた中で、一気に素質を開花させたもの。もし若いころから長い距離を使われていたら、もっと早く出世していた可能性もあっただろう。ただ岩手競馬の番組体系が、年間を通じて短い距離だけを選び続けることが難しい点も、この活躍を導く要素となっていたと感じている。
惜しむらくは、ホッカイドウ競馬の強豪を迎え撃ったビューチフルドリーマーC。ここでの戦いを通じて、全国区における立ち位置が見えて来た可能性もあっただけに、大出遅れでわからなかったのは残念でならない。しかし年間を通じて崩れたのはこの1戦のみ。若干苦手に映った水沢コースでも、シーズンラストのトウケイニセイ記念を制したことで、活躍の場がさらに広がる雰囲気を残して終えたことも良かったのではないだろうか。
それでも盛岡コースに絶対の自信を持つこの馬にとって、連覇を目指す一條記念みちのく大賞典が水沢で行われる今シーズンは、自信を持って臨める舞台を見つけにくい。その意味で個人的に意識してほしいのは、マーキュリーCへの参戦である。一番力を発揮できる条件で全国の強豪ともまれる機会を利して、その後の牝馬路線を含め、更なる飛躍につなげられるのではと感じているからである。
・エンパイアペガサス(岩手ダービーダイヤモンドCなど重賞5勝、3歳最優秀馬)
3歳世代は2歳シーズンで行われた全国交流重賞で、メジャーリーガーをはじめ地元勢が次々と制覇。ハイレベルの戦いが期待された開幕だったが、その開幕重賞であるスプリングCを制したのは、2歳時は重賞路線に登場していなかったエンパイアペガサス。以降は世代をリードする立場となり、マイル以上で行われた地元馬同士の世代限定重賞5戦を完全制覇。ダービーGPでも2着に入り、この馬一色に染まったシーズンとなった。
そのレースぶりも、スローペースを好位で折り合って最後抜け出す競馬も出来れば、中団から力の違いを示すように突き抜けるレースまで披露。結果もやまびこ賞を除けば、2着に4馬身以上のハッキリした差を付ける圧勝劇を続けた。そもそものポテンシャルが高くなければ、変幻自在に立ち回りながら結果を出し続けられないので、全国区での戦いが待望されたのも当然だった。
それが実現したのはダービーGPだった。南関東などから強力な遠征勢を迎えたこともあり、4番人気に甘んじたが、好位で流れに乗り、期待感を膨らませる走り。勝負所で動いた、勝ったトロヴァオにはついていけなくなったが、それでも2着争いを制して地元の意地を見せるとともに、全国区で通用する地力を秘めていることを示すことができた。
残念だったのは、直後に南関東(浦和)に移籍したこと。地元の古馬と戦うことなく岩手を離れたことになるが、その南関東で大活躍。転入初戦を快勝すると、今年2月に行われた報知グランプリCで歴戦の古馬を破り、その実力の片鱗を披露した。そして驚くべきことは、南関東では初戦こそ3角先頭だったが、あとの2戦は逃げる競馬。岩手の重賞で1回も逃げなかった馬が、南関東では逃げて結果を出したのだから、いかにレースセンスが高いかを思い知らされるエピソードだろう。
さて今後のエンパイアペガサスだが、報知グランプリCを最後に岩手に戻ってくる予定という。どこで始動するかなど、具体的なローテーションは決まっていないそうだが、昨年見られなかった地元古馬勢との対戦がようやく見られることになる。ナムラタイタンの項で、自身が背負って来た看板を引き継ぐ馬を探すシーズンと記したが、その相手がエンパイアペガサスであってほしいと願っているし、それを望むファンが大多数だろう。それ以上の期待もエンパイアペガサスには抱いてしまいかねないが、まずはこの2頭の対戦がいつになるか、楽しみに待ちたいと思う。
・ベンテンコゾウ(南部駒賞・寒菊賞、2歳最優秀馬)
2歳路線は他地区・中央デビュー馬の転入可能時期が繰り上げられた関係で、序盤は地元デビュー馬との力量比較が難しかった。そのような中、秋以降に台頭したのがベンテンコゾウだった。
デビュー2戦を好時計で連勝すると、若駒賞に1番人気で登場。使われた距離こそ違うが、2年前にこのレースを制したロールボヌールを彷彿とさせるローテーションもあって、より注目を集めたが、サンエイリシャール(ビギナーズCを含め、シーズン9戦3勝)の前に一敗地にまみれることに。ただしこの時は、ゲート内で暴れるアクシデントがあったとのこと。力を出し切っての敗戦ではなかったので、ゲートさえまともならという力関係を把握できたことだろう。
事実、次走の南部駒賞では、遠征勢を含めて圧倒する逃げ切り勝ち。この時マークした1分39秒8は、水沢実施時のレースレコードタイで、スケールの大きさを示すのに十分な走りだった。結局2歳シーズンは、直後の寒菊賞を含め5戦4勝。勝ったレースは全てワンサイドの圧勝で、明け3歳となる今シーズンもこの馬を中心に巡る可能性が高いと見ている。そして今シーズンのエンパイアペガサスのように勝ち進むことになれば、全国区の舞台でどれだけ戦えるのかまで、期待したい存在である。
・サンエイゴールド(オパールCなど重賞3勝、最優秀ターフホース)
・ブレークビーツ(かきつばた賞・桂樹杯)
最後に芝路線について簡単に。話題の中心はダイワマッジョーレとブレイズアトレイルという大物転入馬だったが、どちらも結果を残せずに終わった。逆に元中央準OPでありながら、2頭の陰に隠れたブレークビーツが、重賞2勝と気を吐いた。しかし交流戦では遠征勢に屈した形となり、それが最優秀ターフホースを逃した要因となった。
一方、3歳勢で圧倒的な走りを披露したのがサンエイゴールドだった。はまなす賞とサファイア賞をともに制すると、オパールCでは遠征勢を破って交流タイトルを獲得。破った相手も、後にホッカイドウ競馬でスティールキングの3冠を阻止したジャストフォファンだったことでより評価が高まり、これが最優秀ターフホース受賞の決め手となった。秋は中央1000万下に2度遠征してソコソコの競馬を見せたが、前年同部門を受賞したレジェンドロックも同等の走りは見せていたので、岩手芝における現状の目安は、この辺りにあるのかもしれない。
【お知らせ】博田伸樹は引き続き、岩手競馬「勝ちそーチャンネル」に登場します
3月18日に実質的なスタートを切る岩手競馬の2017年度シーズンについても、岩手競馬の情報・予想サイト「勝ちそーチャンネル」内にある予想コーナー「岩手競馬 予想の達人」に引き続き登場いたします。
「岩手競馬 予想の達人」(以降、達人)では、岩手競馬の重賞競走について予想を提供することは、これまでと変更ございません。ただし本ブロマガとの連動に関しては、4月の新年度に向けて検討中なので、決まり次第改めてご報告します。なお予想提供は3月18日に行われる奥州弥生賞からとなりますが、このレースに関しては従来通り、連動記事を掲載します。
<岩手競馬「勝ちそーチャンネル」について>
岩手競馬に精通したメンバーによる「予想の達人」をメインに、岩手競馬の記者や「iちゃんねる」で司会を務める岩手競馬応援団長“ふじポン”など著名人によるブログを通じ、岩手競馬をより楽しめる情報が紹介されています。
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