無敗で2歳馬の頂点になったリエノテソーロ。この先に目指すべき道は−「全日本2歳優駿」戦評
2016年 12月 20日
スウィフトハートがやや出遅れ気味だったのを除けば、各馬横一線のスタート。そこから真っ先に抜け出してきたのはローズジュレップで、そのままハナを奪う。2番手グループには内からリエノテソーロ、中からネコワールドも取り付くが、外から徐々に加速したシゲルコングが交わしていき、これが2番手に。3番手グループにはメイソンジュニアが加わるが、後続勢も大きく離されることはなく、10馬身ほどに全馬が収まる形で1コーナーに入っていった。
向正面に入ると先頭ローズジュレップ、2番手シゲルコングで固まり、3番手もリエノテソーロとメイソンジュニアが並走する形。しかしこのグループにいたネコワールドは、早くも後退を始める。後続に目を転じると、手応えが良かったのは中団でレースを進めたバリスコアとヒガシウィルウィン。2頭は3コーナー手前からスパートし、前との差を詰めにかかるが、先行グループはこの辺りから後続を突き離しにかかる。このグループからメイソンジュニアが3コーナー過ぎで遅れてしまうが、他の3頭は4コーナーまでに3馬身程度のリードを奪っていた。
そして最後の直線。逃げるローズジュレップにシゲルコングが迫り、さらに2頭の外に進路を切り替えたリエノテソーロも並びかける。しかし3頭が並ぶシーンは一瞬で、あっという間にリエノテソーロが抜け出しに成功。その後は力強い足どりで、徐々にではあるが差を広げていき、最後は2着に3馬身差を付けてゴール。見事、2歳馬の頂点に輝いた。2着争いは最後まで競り合いが続いたが、ゴール直前でシゲルコングがローズジュレップを競り落として2着。後続勢はシゲルウィルウィンが4着に上がるのが精一杯だった。
<各馬の戦評>
前日のレース終盤から当日の午前中まで降っていた激しい雨の影響で、当日はかなり極端な先行有利な馬場になっていた。このレースも2コーナーで先行集団にいた4頭全てが掲示板に入ったし、勝ったリエノテソーロもこの馬場傾向によって、距離延長という課題を覆い隠した感は否定できない。だがローズジュレップが刻んだ1000m62.0秒のラップは、古馬戦を含めた今開催最速ラップ。これを3番手で追走し、直線で力強く抜け出した走りに対し、恵まれたと評するのは失礼だろう。現時点における力の違いを見せたと言える走りで、仮にエピカリスが出走していたとしても、良い勝負に持ち込めたかも知れない。
ただし、これで頭を悩ませることになったのは、来年のスケジュール。芝でデビュー2連勝の後、統一グレードを2連勝したことから、中央の桜花賞とドバイのUAEダービーという、2つの路線を目指せる状況になったからだ。もし自分自身が当事者であれば、距離延長に対応できるかどうかに判断基準は置きたい。対応できると判断するならドバイを意識したいし、厳しいと思えば芝に転じて桜花賞が目標になる。いずれにせよ悔いのない選択をしてほしいと思っている。
2着に終わったが、シゲルコングも力のあるところを見せた。大外枠からスムーズに先行し、もまれずに競馬が出来たところはあるにせよ、厳しい流れで押し切った内容は高く評価していい。勝った馬とは現時点における完成度と、小回りコースに対する適応度の差と思われ、今回つけられた3馬身差が将来まで続くことはないだろう。今後の課題はレースぶりに安定感がないことで、今回も2着に来たとはいえ、力を出し切ったわけではないというコメントが関係者から出ている。こういった部分が解消されれば、更なる出世が見込めるのではないだろうか。
前走で兵庫ジュニアGPを制したローズジュレップは3着。当時はネコワールドを行かせて2番手からプレッシャーをかける競馬を選択したが、今回はハナを奪う競馬。この辺りは前が止まらない馬場を見据えた川原正一騎手の好判断だったが、それでも厳しい流れを演出して最後まで踏ん張ったのだから、前走がフロックでなかったことを証明したのは確かだ。ただこれ以上の距離延長に関しては、今の段階では楽観視できない。南関東移籍の話もあるようだが、頭の片隅にスプリント路線もあることを考えながら、来年を戦ってほしいと思う。
期待したヒガシウィルウィンは4着。前が止まらない馬場傾向に加え、自身が追い上げを開始した時に前のペースも上がって差を詰められないなど、不運が重なった1戦。しかも自身が小回りコースに対応できなかった点もあると思われ、今回の結果が上位陣との差と評することは危険だ。既に南関東に移籍しているが、3歳路線の中心となる大井コースなら力を存分に発揮できるはず。ハイセイコー記念を無敗で制したミサイルマンとともに、東京ダービーに向けた路線の牽引役を担うことになりそうだ。
5着のメイソンジュニアは、先行できた利で粘り込んだだけ。距離に限界があるし、今回を見る限りはダートも良いとは思えない。OP特別を勝った、芝の短距離がベターではないだろうか。
6着のバリスコアは、道中の手応えの割には伸びなかった。力が要る川崎コースに対応できなかったのか、あるいは距離の壁か。こちらも南関東に移籍しているが、色々な可能性を考えながら、レースを選んでほしいものだ。
以下は重い印を打った馬について触れるが、10着に終わったストーンリバーはヒガシウィルウィン以上に勝負所から外々を回したことで、持ち味の器用さを活かせず。ただそれ以前の問題として、スタート直後から押して先行しようとしながらついていけなかったことから、速さ負けの印象もある。ただしこの馬は地元に残る模様で、そうなれば来年のホッカイドウ競馬3歳路線は、この馬を中心に巡ることになるだろう。
最後にシンガリ負けとなったネコワールドに触れると、兵庫ジュニアGPの結果を受けて控える競馬をしたのだろうが、早々に後退した姿を見ると、逃げなければダメな馬だということだろう。とはいえ、それだけでここまで崩れるとは思えないので、そもそもの段階で早熟な馬だったと考えるのが自然かもしれない。
(詳細なレース結果は地方競馬全国協会のオフィシャルサイト等で確認してください)
