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コラム 待ったなしの状況になった、中央・地方統一マークカードの開発

川崎競馬場で行われた今年のJBC。売上(売得金)は主催者が目標としていた40億円を軽くクリアしただけでなく、昨年の東京大賞典当日にマークした、地方競馬のレコードまで塗り替えた。売り上げ面では大井競馬が地方競馬の記録を軒並み持っているため、それを塗り替えたことは価値観を転換する上でも大きなものだった。だが昨年も指摘した様に、JBCのステイタスに対する、私が適正と思っている売上規模にはまだ遠く及ばない。そこで来年のJBCに向けて待ったなしとなった課題を、ここで指摘したいと思う。


・認知度向上に効果があった「BSジャパン」での生中継


今年の開催ではJBC史上初めて、BSジャパンを通じて全国放送が行われた。これはJBCとしてはもちろんだが、地方競馬全体で見ても初めての全国放送となり、その歴史的意義は計り知れないもの。これが売上レコードをもたらした、最大のポイントだったと考えている。


これまでもネットを通じた映像伝達や、(今年を含め)有料放送のグリーンチャンネルで放送されていたが、前者はヘビーユーザー向けだし、後者はそもそも有料チャンネルで、地方競馬のために視聴料を支払っている人は多くないはず。本当に売上拡大や、地方競馬・ダート競馬の認知度向上のために掘り起こしたい層に向けた、メディアとは言えないと思っている。


真に掘り起こしたい層は、地方競馬に興味はあるけれど、どうやって入っていけばいいかわからない人だと思っている。そういった人に対しては、受動的メディアであるテレビの力は決して小さくない。特に地上波・BS波で放送される場合、新聞のテレビ欄にも掲載されるので、それがもたらす広告的価値は見逃せない。だからこそJBCに限らず、地方競馬の競走が全国放送される環境整備は、今後も進めていきたいところである。


・2017年はJBC最大の危機?


さて、ここからが今回の本題である。昨年、同じ時期に掲載したJBC関連のコラムで、2017年のJBCを11月5日の日曜日に実施してはと提案した。これは中央競馬開催日の前日に人馬交流競走の実施を認めないというルールで、金曜日となる文化の日が使えない可能性があり、それへの対応と注目度の確保という両面を手にできることから提言したものである。


ただ実際に発表された日程は、11月3日の金曜日。文化の日当日に実施できることだけ見れば良かったように映るが、その代わりに中央競馬との競合を余儀なくされた2003年にも中央競馬と競合したケースがあるが、この時は売上も注目度も落ち込み、中央競馬の発展を第一義とする立場の識者による、JBCの価値を否定しようとする発言も目立った。


中央競馬との競合による影響は、今も大きく変わっていない。岩手競馬を例に取れば、中央競馬と競合する機会が多いマイルチャンピオンシップ南部杯(以降、南部杯)当日より、競合しない祝日開催であるマーキュリーC当日の方が売り上げはいいという。レースのステイタスと現実の売上がリンクしていない、典型的なケースの1つだ。


当然、メディアの扱いも変わって来る。私は昨年・今年と、無料放送された南部杯当日の「グリーンチャンネル中央競馬中継」を14時頃から視聴していたが、少なくとも視聴開始後に馬体重などの情報提供は一切なし。たまたま生で流せる時間に発走する、遠い異国で行われるレースのような扱いに、猛烈な違和感を覚えずにはいられなかった。


普通に考えれば来年のJBC当日も、民放を含む中央競馬のための中継(番組)を行う放送局は、同じような扱いになるだろうし、その他の既存メディアも、中央競馬の話題を押しのける勇気はないだろう。そうして注目度を落とし、2003年に台頭した、JBCの価値を否定したい識者に再び脚光が浴びてはならない。だからこそ決まった形は、個人的には最も避けて欲しかったのだが・・・。


・参加人口の最大化のために


とは言いつつも、既に日程が決まった以上、この中でどうするかを考えないといけない。その上でやはりポイントになるのは、現金投票への対応強化だろう。そこで全ての競馬主催者が、喫緊の課題として取り組むべきものとして“中央・地方統一マークカードの開発”(以降、統一マークカード)を求めたいのだ。


何故これが求められるのか。現在、一部地方競馬施設では“J−PLACE”と称して中央競馬の馬券を発売しているが、発売日は中央競馬専用のマークカードと、地方競馬用のマークカードが並んで置かれる。窓口自体は分け隔てられていないので、2種類あることが混乱につながる。これが1つになれば、そこで混乱することが発生しないというメリットがある。


更にもう1つ例を挙げれば、JRA東京競馬場に「東京競馬場内岩手競馬専用場外」というエリア(通称「101投票所」)がある。岩手競馬の馬券を買うにはこのエリアまで行く必要があり、またこのエリアでは中央競馬の馬券を購入することができない。統一マークカードが導入されれば、統一グレード当日などでその壁を容易に取り除くことが可能になり、結果として参加人口の拡大につながると考えている。


確かにネット投票全盛の時代に、現金投票窓口の拡大に意味がないとする声もある。それでもこだわるのは、新たに興味を持つファンにとって最初の入り口だから。新しいファンを迎えるための視点が無くなれば、その業界の未来も脅かすことになると私は考えている。そのためにも統一マークカードの開発は、業界全体の発展のためにも必要なものなのだ。


・JRAが放置してきた責務


話をJBCに戻す。来年の11月3日、JRAは自らが所有する全発売施設でJBC各競走を発売する責務がある。その根拠は、1997年4月に開始したダート統一グレードの審査・格付け認定機関として立ち上げられた「ダート競走格付け委員会」(現在は解散)が提言した“全国の発売施設における場外発売の実施”である。


それをJRAは、20年にわたってほぼ放置していた。その時間を取り戻すことは出来ないが、汚点を積み重ねる未来を避けることはできる。そのためにも統一マークカードの開発を主導し、また各発売施設でJBCを発売できるようにするための努力も、行わなければならない


それによってJBCのみならず、全主催者のダート統一グレードが全発売施設で購入できるようになる。そのメリットを享受するのは、国内全ての競馬主催者。特定の主催者だけに損得があるものではない。そのためにこれからの1年間、全ての競馬主催者が共通の課題として向き合い、取り組んで欲しいと考えている。


by hirota-nobuki | 2016-11-25 07:00 | Comments(0)

地方競馬・ダート競馬の発展を願ってやまない博田伸樹(ヒロタ・ノブキ)です。この場を通じて地方競馬・ダート競馬により興味を持つ人が1人でも増えてほしいと願っています。 twitter:@HirotaNobuki


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