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地方注目レース戦評−京浜盃・(浦和)桜花賞・ばんえい記念

久しぶりに統一グレード以外の戦評記事を掲載します。全国各地で桜の開花の便りが聞かれると、競馬の世界は3歳馬の頂点を決める争いが注目度を増してきます。そこで今回はその動向を占う意味で、南関東の3歳3冠前哨戦の京浜盃と、同じく3歳牝馬3冠第一弾の(浦和)桜花賞を分析。さらに先日行われたばんえい記念についても触れておきたい。


圧勝劇だったが故に、逆に不安を与えたオウマタイム−京浜盃


とにかくこの1戦はオウマタイムの圧勝劇に集約されてしまうが、この8馬身差は今後、他馬に逆転の可能性はないのかという視点で考えてみたい。


まず展開面だが、ラッキープリンスの逃げは前半1000mで61.7秒(推定)。これはこの時期の3歳馬としてはやや速目。しかも向正面で“11.9”というラップを計時したように、先行馬には厳しい流れになった。この流れをオウマタイムはかかり気味に追走し、3コーナーで我慢できずに先頭に立ったところを見ると、逃げたのはラッキープリンスでも、流れを作ったのはオウマタイムだったという印象だ。


さらにこの日は差し馬が届きそうで届かない、乗り方が難しい先行有利の馬場だった。そんな中、3コーナーから不意打ち気味に後続を離したオウマタイムを捕まえるのは困難。ここに8馬身差だけでなく、4コーナーで2番手に押し上げたフラットライナーズが、2着に残ったことにもつながった。


つまり今回は、嵌った要素も多分にあった。細かい部分を見ていけば、前走のヒヤシンスSで逃げるレースをした影響からか、行きたがる走りになったこと。最後まで目一杯に追っていながら、ラスト1ハロンは“13.6”と、1秒以上ラップライムが落ち込んだことが、距離が延びる先々を見据えた時のポイントになると思っている。


個人的には京浜盃前の段階で、オウマタイムが全体の中でやや抜け出していると見ていたので、本命に迷いはなかったし、余程の別路線組が出ない限りは羽田盃も本命にする予定。だが、8馬身差に惑わされて1強ムードで見ると、非常に危険。それを踏まえた上で、この先の舞台は検討してほしいと思う。


では、負けた組で先々につながる走りを見せた馬となると、4着のコンドルダンスを取り上げたい。スタートで出遅れて流れに乗れない中、直線だけのレースで2着争いまで持ってきたのは好評価。今回、本橋孝太騎手に乗り替わったが、極端な乗り方をするタイプでもあり、この馬に合っている印象がある。振り返れば同じコンビで東京ダービーを制したプレディオラスも直線強襲型。結果的に今回、それに近いイメージの乗り方だったので、それができれば面白い存在だろう。


また、1番人気で11着に敗れたストゥディウムは、1コーナーの不利はあったものの、これまでより前目での戦いで持ち味が出なかった印象。これを力負けと判断してはいけない。繰り返しになるが、今回は難しい馬場状況が結果にもたらした影響は大きい。それを考えた場合、ストゥディウムまでの馬は、展開次第でチャンスが残されているのではないだろうか。


想像以上だった、ララベルのレースセンス−(浦和)桜花賞


園田から遠征したトーコーヴィーナスがハナを奪えた段階で、私自身はどういう勝ち方をするだろうかという一点だけを見ていた。今開催の浦和コースは極端な先行有利の馬場だった上、この馬のスピードは一枚上の存在。南関東勢も低レベルとは見ていなかったが、捉えるのは困難だと思って見ていた。


しかし、それを上回ったのが勝ったララベルのレースセンスだった。決して動けないという印象ではなかったものの、10キロ増という数字以上に馬体は緩く感じた。だがレースになればあっさりと2番手を奪いトーコーヴィーナスが突き放しにかかった3コーナーでも余裕を持って付いていき、最後の叩き合いを制したのは見事だった。


この走りを見てしまうと、南関東の牝馬路線はララベルを中心に回るのは確定したと言えよう。どんなレースになっても崩れる印象はなく、この先距離が延びても問題はなさそう。むしろ東京プリンセス賞の後、関東オークスなのか東京ダービーなのかという選択が注目される可能性もありそうだ。


その他の南関東勢は、3着アイスキャンドルと4着リボンスティックは、内枠から上手く立ち回って流れ込んだだけ。むしろ初めての強豪相手で5着に追い上げたスウィートピカンテの方が、先々は面白いか。1番人気で9着に敗れたスターローズは、完全に馬場に泣いたもの。この1戦だけで評価を落とす必要は、全くないだろう。


最後に2着のトーコーヴィーナスだが、初の左回りでコーナーでの走りが良くなかったというコメントが出ている。3コーナーから突き放しに行った割に、ラップタイムは速くなっていないのは、そこに理由があったのかもしれない。今後“グランダム・ジャパン”の総合優勝を目指すなら、最終戦の関東オークスへの参戦は必須だろうが、その場合は川崎コースが課題になるだろう。この馬の地力なら、地元の統一グレード・兵庫チャンピオンシップでもチャンスはあると思うので、動向は注視してほしい。


関係者の熱意がもたらした偉業−ばんえい記念


1トンを曳くこのレースでも、第2障害にさしかかるまでに2分を要するとなれば、スローペースと言えよう。その流れを活かしたか、第2障害を最初に降りたのは初挑戦の7歳馬・フジダイビクトリー。続いて同じ7歳のニュータカラコマが降りた時には、場内実況でもあったが、世代交代の舞台になるのではと思わせた。


しかしゴールを目前にして2頭の脚色は苦しくなる。そこに襲いかかってきたのが4番手で降りたキタノタイショウ。苦しむ先行勢を尻目に一気に差を詰めると、残り10mを切ってから先頭を行フジダイビクトリーも捉え、その勢いで悲願のゴールに飛び込んだ。


キタノタイショウはデビュー以来、大半のレースを大河原和雄騎手とのコンビで戦ってきた。しかし昨年のばんえい記念では、直前のけがによって騎乗出来なかった影響が大きかった。またキャリア30年を誇る服部義幸調教師も、過去にばんえい記念を制したことがなく、この舞台に賭ける意気込みは大変強かったと聞く。そんな関係者のこの舞台に賭ける熱意の強さが、第2障害以降の末脚につながっていたのではないだろうか。


この勝利によってキタノタイショウは、ばんえい競馬史上初めて2歳世代の頂点を決める「イレネー記念、3歳世代の象徴である「ばんえいダービー」、そして最高峰の「ばんえい競馬」を全て制した馬となった。この中でばんえいダービーだけは、施行時期の変動がある関係で、過去と同列に扱えないとはいえ、この偉業を取り上げる声がほとんど聞かれないのは少々残念である。


またこのレースを盛り上げたのは、ニュータカラコマ(2着)とフジダイビクトリー(4着)の7歳世代の2頭であったのは疑う余地はない。特にフジダイビクトリーは、最後は止まってしまったが、初の1トン戦で見せた今回の走りは見事だった。この世代に加え、現5歳世代には今年のチャンピオンCを制したオレノココロをはじめとした、レベルの高い馬が揃っている。混戦で終始した感のある2014年度のばんえい競馬だが、2015年度は若い力が賑わせるシーズンになる予感が今から湧き上っている。


(詳細なレース結果は地方競馬全国協会のオフィシャルサイト等で確認してください)


by hirota-nobuki | 2015-03-28 18:00 | Comments(0)

地方競馬・ダート競馬の発展を願ってやまない博田伸樹(ヒロタ・ノブキ)です。この場を通じて地方競馬・ダート競馬により興味を持つ人が1人でも増えてほしいと願っています。 twitter:@HirotaNobuki


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